SaaS開発における要件定義のコツと方法:失敗しないための実践ガイド

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SaaS開発における要件定義のコツと方法:失敗しないための実践ガイド

投稿日:

2024.01.01

SaaSは一度作れば終わりではなく、導入後の利用体験や継続率で成果が決まります。特に要件定義の質は、その後の開発スピードやコスト、サービスの満足度に直結します。最初にどのように整理し、どこまでを決めておくかで、後の進行は大きく変わります。本記事では要件定義の基本手順に加え、実務で役立つ工夫を具体的に解説します。日々の現場で迷いを減らす指針として活用してください。ぜひ最後までお読みください。

SaaS開発における要件定義の重要性

要件定義は単なる機能リストではなく「誰に何の価値を、どのように安定して届けるか」を決める工程です。ここを曖昧にしたまま進めると、後工程で認識が食い違い、修正に大きな工数とコストがかかります。SaaSの開発では、最初にサービスのコア価値と運用面の基準を定めておくことが不可欠です。

この重要性を理解したうえで、次章では具体的な進め方を整理していきます。

要件定義がSaaS成功を左右する理由

SaaSはサブスクリプションモデルです。ユーザーが初期利用で価値を感じなければ、すぐに解約につながります。そのため要件定義の段階で「最初にどの体験を届けるか」を数値付きで定めることが重要です。たとえば「初回請求書を発行するまでの所要時間を15分以内にする」と決めておけば、導入初期の体験を確実に支えられます。

さらに、運用段階で必要な監査ログや権限管理を要件に含めておくことで、リリース後の手戻りを減らせます。つまり要件定義は、価値の実感と運用の安定を同時に担保する土台なのです。

機能要件と非機能要件の整理

機能要件は「ユーザーが何をできるか」、非機能要件は「その操作をどれだけ快適かつ安全に行えるか」を定めます。SaaSの場合、非機能要件が解約防止に直結します。具体的には稼働率(例:99.9%)、応答速度(p95=1秒以内)、セキュリティ(MFAやSSO)、アクセシビリティ(WCAG基準)などです。

また、現場のデザイナーの多くがFigmaやPDF納品などのドキュメント運用に精通しており、要件定義の段階で「共有しやすい形式」を指定しておくことも実務上の成功につながります。

ウォーターフォールとアジャイルにおける要件定義

ウォーターフォールでは、要件を最初に固定し、その後は変更を許さない進め方をとります。一方アジャイルでは、仮説検証を繰り返しながら柔軟に変えていきます。SaaSではアジャイルの要素が不可欠ですが、すべてを流動的にすると混乱します。

そのため「固定する要素(顧客ターゲット、料金モデル、非機能要件)」と「柔軟に変える要素(UIの詳細、追加機能、価格施策)」を分けることが大切です。さらに意思決定の経緯をADR(決定記録)に残しておけば、誰でも判断の背景を理解でき、開発手法の違いがあっても整合性を保てます。

要件定義の基本的な方法(手順)

次に、現場で使える手順を順に整理します。各工程を「誰が、何をもって完了とするか」を明確にしておくと、進行がスムーズになります。

この流れを押さえたうえで、次章では実践的なコツを解説します。

現状分析と課題整理

まずは現状の業務やシステムを丁寧に把握します。どの工程で時間がかかっているのか、どこに手戻りが発生しているのかを数値で確認することが重要です。例えば「請求書発行に平均17分、そのうち手作業転記に11分」などです。この分析により、解決すべき課題が自然と浮かび上がります。

要求の収集と整理

要件はユーザー、顧客、オペレーション部門、法務など多方面から出てきます。ヒアリングでは「事実」「解釈」「要求」を分けて聞き、混同しないことが肝心です。整理の際にはステークホルダーマップやRACI表を活用し、誰が責任を持つかを明示しておくと後の調整がスムーズになります。

要件の優先順位付け

MoSCoW法(Must/Should/Could/Won’t)やKanoモデルを使い、機能の優先順位を整理します。特にSaaSでは「初期利用で価値を届けられるか」が重視されるため、導入初期のKPIに直結する要件をMustに設定します。一方、長期的にユーザー満足度に影響する要素はShouldやCouldに整理し、後で拡張できるようにします。

要件定義書の作成

要件定義書は、プロジェクトの“単一の参照点”として機能させることが大切です。スコープ、ペルソナ、ユーザーフロー、データモデル、非機能要件、KPI、変更管理プロセスなどを体系的にまとめます。NotionやConfluenceに格納し、誰でも最新の内容を確認できる状態にするのが望ましいです。Figmaのプロトタイプを添付して「仕様=体験」を一致させる工夫も効果的です。

実践で役立つ要件定義のコツ

手順だけでは不十分です。実際の現場では合意形成やスコープ管理などで迷いが生じやすいため、ここでは効果的な工夫を紹介します。

この工夫を取り入れることで、次章で触れる「失敗防止策」がより効きます。

ユーザーストーリーを明確化する

ユーザーストーリーは「誰が、何のために、何をしたいか」をシンプルにまとめます。さらに受け入れ基準を数値で書き添えると、開発側と利用側の認識が一致します。例えば「経理担当者として、未払金データを3分以内にCSVでインポートできる。エラーはUI上で修正可能」といった具合です。ストーリーマッピングで体験の時間軸と優先度を整理すれば、MVPに必要な機能が自然と見えてきます。

MVPを意識してスコープを絞る

最小限の製品(MVP)は「ひとつの体験を最後まで通せること」に集中させます。たとえば決済サービスなら「登録→支払い→領収書発行」の一連を通せることが最優先です。統計機能や高度な編集機能は後回しにし、まずは利用者が継続利用したくなる最小限の価値を届けることが肝要です。

ステークホルダーの合意形成

合意形成では「UIの実物」と「数字で示す効果」を用意することが効果的です。プロトタイプを見せながら、操作時間や工数削減の試算を示せば、感覚的な意見の対立を抑えられます。実際にJOOi主催のAIデザイン講座でも、71.7%が「現場での具体的効果」に関心を持ち、満足度も高い結果が出ています。

ドキュメント化と共有の徹底

ドキュメントは「短く、探しやすく、更新しやすく」を意識します。要件のサマリー、詳細、Figmaリンク、チケットへの連携をひとつの流れにまとめると迷いが減ります。変更点は必ずChange Logで明示し、背景はADRに残すと後から見直しやすくなります。特にPDFやスライド形式への対応は、クライアントや経営層との共有で効果的です。

要件定義の失敗を防ぐポイント

SaaS開発では「わかりにくさ」「変更への弱さ」「伝達不足」が失敗の原因になります。ここではそれぞれの典型例と防ぐための仕組みを整理します。

次に紹介するフレームワークやツールと組み合わせることで、さらに精度の高い要件定義が可能になります。

曖昧な表現を避ける

「使いやすい」「速い」といった主観的な表現は後に解釈の違いを生みます。必ず数値で表現しましょう。例えば「サインアップ完了率70%以上」「ダッシュボードの表示速度p95=800ms以下」といった形です。アクセシビリティも「キーボード操作のみで主要フローを完了可能」「代替テキストの網羅率100%」のように、完了状態を明確に記録しておくことが大切です。

変更管理プロセスを設ける

要件は必ず変わります。そのため、変更時のルールをあらかじめ決めておく必要があります。軽量なRFC(Request For Comments)やCCB(Change Control Board)を設け、「誰が、いつ、何を根拠に変更したか」を記録します。さらにFeature FlagやA/Bテストを運用に組み込み、「試してだめならすぐ戻す」仕組みを持っておくとリスクが抑えられます。

コミュニケーション不足を防ぐ

要件定義の段階での情報共有不足は、大きな手戻りにつながります。週次では「KPIの変化」「重大課題」「未決仕様」を短時間で確認し、月次では「SLOの達成度」「問い合わせ傾向」を共有するなど、定例の型をあらかじめ作っておくと安心です。また、要件を共有するときは文章だけでなく、図、プロトタイプ、短い操作動画を組み合わせることで、理解の速度が上がります。

フレームワーク・ツールの活用

言葉で合意し、図で確認し、プロトタイプで体感をそろえる。この3つを回すことで要件定義は強固になります。ここでは具体的に役立つフレームワークやツールを見ていきます。

次章からは、SaaS開発特有の論点に進みます。

ユーザーストーリーマッピング

ユーザーの行動を時系列に並べ、どの体験を最小構成で届けるかを見える化する手法です。横軸に行動の流れ、縦軸に優先度を配置することで、MVPの範囲を自然に導き出せます。複雑になりすぎないように、まずは主要な3つのフローに絞って整理すると実用的です。

ER図やデータフロー図

データの構造やシステム間の連携を図にすることで、関係者の認識がそろいます。ER図では「顧客」「契約」「請求」「支払い」といった不変の要素を中心に整理し、料金プランなど変化が多い要素は履歴管理や有効期限で柔軟に対応します。DFD(データフロー図)では外部サービス連携を含め、入力と出力を明確に可視化するのが効果的です。

プロトタイピング

Figmaなどのツールで画面の動きを早い段階で形にします。初回起動の流れをシナリオ化し、ユーザーが迷わず成果を出せるかを確認することが重要です。プロトタイプが仕様そのものになるため、命名規則やアクセシビリティ対応も同時に盛り込むと、実装に移るときのずれを減らせます。

要件管理ツールの導入

JiraやBacklogといったツールを使い、要件からタスク、リリースノートまでをひとつの流れで追えるようにします。テンプレートを整備し、「タイプ」「優先度」「影響範囲」「テストケース」などの項目を標準化することで、抜け漏れが減ります。

SaaS開発特有の要件と注意点

SaaSは「マルチテナント構造」「継続課金モデル」「法規制対応」がセットになっています。一般的なシステム開発とは違う論点を、要件定義で先に押さえることが求められます。

ここで紹介する3点を整理すると、事例の理解がより深まります。

スケーラビリティを考慮した設計

SaaSでは利用者数やデータ量が急増するケースを想定しておく必要があります。例えば「一括インポートは10万件まで」「処理はバックグラウンドで実行し、進捗をUIに表示する」といった具合に、規模拡大時の挙動を要件化します。初期だけでなく、継続的にデータが増えていく前提で、同期や移行の仕組みを設計しておくことがポイントです。

セキュリティ・認証要件

認証や権限設計はSaaSの要件定義で最も外せない項目です。SSO(シングルサインオン)、MFA(二要素認証)、IP制限、監査ログなどを必ず明記しておきます。権限は「閲覧・作成・編集・削除・承認」といった動詞で整理すると、実務と直結させやすくなります。さらに、生成AIを利用する場合の入力制限やログ保存方針なども、早めに要件化しておくと安全性が担保されます。

運用・保守を意識した設計

リリース後の運用を見越した要件も忘れてはいけません。障害時にどう通知するか、どの範囲を誰が担当するか、問い合わせの管理方法などをあらかじめ決めます。モニタリングは主要なSLI(応答時間、エラー率など)を常に可視化し、SLOの達成度で開発速度を調整できるようにすると、サービスの安定と改善のバランスを保てます。

成功事例から学ぶ要件定義

ここではスタートアップと大企業、それぞれの成功事例から得られる要件定義の型を紹介します。特定企業の事例に依存せず、再現性のある方法論としてまとめます。

次章では、JOOiのデザイナー実績と結び付けて実務での応用を考えます。

スタートアップの事例

少人数のチームでは、対象顧客を絞り込み、初期利用で成果が出る体験をMVPに落とし込みます。具体的には「登録→主要タスク→成果確認」を短期間で提供することに集中し、その他の機能は後に回します。監査ログや権限設計など最低限の非機能要件だけを初版から入れ、後の拡張に備える形です。

大企業での事例

複数部門が関わる場合は、最初に責任分担を明確にし、共通の非機能要件カタログを作ります。そのうえで、部門ごとの差分だけを追記する方式にすれば、議論の重複を避けられます。さらにPoC(概念実証)や限定リリースを挟んで段階的に展開することで、大規模な導入でもスムーズに進められます。

まとめ

SaaSの要件定義は「価値の約束」と「運用の基盤」を同時に設計する作業です。成功のためには、初期体験を短期間で実現するMVP設計、非機能要件を数値で定める姿勢、変更や合意を管理する仕組みが欠かせません。さらに、図やプロトタイプで体感をそろえ、KPIで進捗を測ることが重要です。

実務では「ユーザーストーリーマッピング→プロトタイピング→小規模リリース→段階展開」の流れを小さく回すことで、学習が蓄積されていきます。人材の観点では、SaaSに特化しつつ規制やUXの両立ができるデザイナーが鍵を握ります。JOOiのような審査制エージェントを活用し、早い段階から要件定義に強い人材を加えることで、合意形成と設計のスピードが大きく高まります。

次のスプリントプランニングから、本記事の視点をぜひ実践してみてください。

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SaaSは一度作れば終わりではなく、導入後の利用体験や継続率で成果が決まります。特に要件定義の質は、その後の開発スピードやコスト、サービスの満足度に直結します。最初にどのように整理し、どこまでを決めておくかで、後の進行は大きく変わります。本記事では要件定義の基本手順に加え、実務で役立つ工夫を具体的に解説します。日々の現場で迷いを減らす指針として活用してください。ぜひ最後までお読みください。

SaaS開発における要件定義の重要性

要件定義は単なる機能リストではなく「誰に何の価値を、どのように安定して届けるか」を決める工程です。ここを曖昧にしたまま進めると、後工程で認識が食い違い、修正に大きな工数とコストがかかります。SaaSの開発では、最初にサービスのコア価値と運用面の基準を定めておくことが不可欠です。

この重要性を理解したうえで、次章では具体的な進め方を整理していきます。

要件定義がSaaS成功を左右する理由

SaaSはサブスクリプションモデルです。ユーザーが初期利用で価値を感じなければ、すぐに解約につながります。そのため要件定義の段階で「最初にどの体験を届けるか」を数値付きで定めることが重要です。たとえば「初回請求書を発行するまでの所要時間を15分以内にする」と決めておけば、導入初期の体験を確実に支えられます。

さらに、運用段階で必要な監査ログや権限管理を要件に含めておくことで、リリース後の手戻りを減らせます。つまり要件定義は、価値の実感と運用の安定を同時に担保する土台なのです。

機能要件と非機能要件の整理

機能要件は「ユーザーが何をできるか」、非機能要件は「その操作をどれだけ快適かつ安全に行えるか」を定めます。SaaSの場合、非機能要件が解約防止に直結します。具体的には稼働率(例:99.9%)、応答速度(p95=1秒以内)、セキュリティ(MFAやSSO)、アクセシビリティ(WCAG基準)などです。

また、現場のデザイナーの多くがFigmaやPDF納品などのドキュメント運用に精通しており、要件定義の段階で「共有しやすい形式」を指定しておくことも実務上の成功につながります。

ウォーターフォールとアジャイルにおける要件定義

ウォーターフォールでは、要件を最初に固定し、その後は変更を許さない進め方をとります。一方アジャイルでは、仮説検証を繰り返しながら柔軟に変えていきます。SaaSではアジャイルの要素が不可欠ですが、すべてを流動的にすると混乱します。

そのため「固定する要素(顧客ターゲット、料金モデル、非機能要件)」と「柔軟に変える要素(UIの詳細、追加機能、価格施策)」を分けることが大切です。さらに意思決定の経緯をADR(決定記録)に残しておけば、誰でも判断の背景を理解でき、開発手法の違いがあっても整合性を保てます。

要件定義の基本的な方法(手順)

次に、現場で使える手順を順に整理します。各工程を「誰が、何をもって完了とするか」を明確にしておくと、進行がスムーズになります。

この流れを押さえたうえで、次章では実践的なコツを解説します。

現状分析と課題整理

まずは現状の業務やシステムを丁寧に把握します。どの工程で時間がかかっているのか、どこに手戻りが発生しているのかを数値で確認することが重要です。例えば「請求書発行に平均17分、そのうち手作業転記に11分」などです。この分析により、解決すべき課題が自然と浮かび上がります。

要求の収集と整理

要件はユーザー、顧客、オペレーション部門、法務など多方面から出てきます。ヒアリングでは「事実」「解釈」「要求」を分けて聞き、混同しないことが肝心です。整理の際にはステークホルダーマップやRACI表を活用し、誰が責任を持つかを明示しておくと後の調整がスムーズになります。

要件の優先順位付け

MoSCoW法(Must/Should/Could/Won’t)やKanoモデルを使い、機能の優先順位を整理します。特にSaaSでは「初期利用で価値を届けられるか」が重視されるため、導入初期のKPIに直結する要件をMustに設定します。一方、長期的にユーザー満足度に影響する要素はShouldやCouldに整理し、後で拡張できるようにします。

要件定義書の作成

要件定義書は、プロジェクトの“単一の参照点”として機能させることが大切です。スコープ、ペルソナ、ユーザーフロー、データモデル、非機能要件、KPI、変更管理プロセスなどを体系的にまとめます。NotionやConfluenceに格納し、誰でも最新の内容を確認できる状態にするのが望ましいです。Figmaのプロトタイプを添付して「仕様=体験」を一致させる工夫も効果的です。

実践で役立つ要件定義のコツ

手順だけでは不十分です。実際の現場では合意形成やスコープ管理などで迷いが生じやすいため、ここでは効果的な工夫を紹介します。

この工夫を取り入れることで、次章で触れる「失敗防止策」がより効きます。

ユーザーストーリーを明確化する

ユーザーストーリーは「誰が、何のために、何をしたいか」をシンプルにまとめます。さらに受け入れ基準を数値で書き添えると、開発側と利用側の認識が一致します。例えば「経理担当者として、未払金データを3分以内にCSVでインポートできる。エラーはUI上で修正可能」といった具合です。ストーリーマッピングで体験の時間軸と優先度を整理すれば、MVPに必要な機能が自然と見えてきます。

MVPを意識してスコープを絞る

最小限の製品(MVP)は「ひとつの体験を最後まで通せること」に集中させます。たとえば決済サービスなら「登録→支払い→領収書発行」の一連を通せることが最優先です。統計機能や高度な編集機能は後回しにし、まずは利用者が継続利用したくなる最小限の価値を届けることが肝要です。

ステークホルダーの合意形成

合意形成では「UIの実物」と「数字で示す効果」を用意することが効果的です。プロトタイプを見せながら、操作時間や工数削減の試算を示せば、感覚的な意見の対立を抑えられます。実際にJOOi主催のAIデザイン講座でも、71.7%が「現場での具体的効果」に関心を持ち、満足度も高い結果が出ています。

ドキュメント化と共有の徹底

ドキュメントは「短く、探しやすく、更新しやすく」を意識します。要件のサマリー、詳細、Figmaリンク、チケットへの連携をひとつの流れにまとめると迷いが減ります。変更点は必ずChange Logで明示し、背景はADRに残すと後から見直しやすくなります。特にPDFやスライド形式への対応は、クライアントや経営層との共有で効果的です。

要件定義の失敗を防ぐポイント

SaaS開発では「わかりにくさ」「変更への弱さ」「伝達不足」が失敗の原因になります。ここではそれぞれの典型例と防ぐための仕組みを整理します。

次に紹介するフレームワークやツールと組み合わせることで、さらに精度の高い要件定義が可能になります。

曖昧な表現を避ける

「使いやすい」「速い」といった主観的な表現は後に解釈の違いを生みます。必ず数値で表現しましょう。例えば「サインアップ完了率70%以上」「ダッシュボードの表示速度p95=800ms以下」といった形です。アクセシビリティも「キーボード操作のみで主要フローを完了可能」「代替テキストの網羅率100%」のように、完了状態を明確に記録しておくことが大切です。

変更管理プロセスを設ける

要件は必ず変わります。そのため、変更時のルールをあらかじめ決めておく必要があります。軽量なRFC(Request For Comments)やCCB(Change Control Board)を設け、「誰が、いつ、何を根拠に変更したか」を記録します。さらにFeature FlagやA/Bテストを運用に組み込み、「試してだめならすぐ戻す」仕組みを持っておくとリスクが抑えられます。

コミュニケーション不足を防ぐ

要件定義の段階での情報共有不足は、大きな手戻りにつながります。週次では「KPIの変化」「重大課題」「未決仕様」を短時間で確認し、月次では「SLOの達成度」「問い合わせ傾向」を共有するなど、定例の型をあらかじめ作っておくと安心です。また、要件を共有するときは文章だけでなく、図、プロトタイプ、短い操作動画を組み合わせることで、理解の速度が上がります。

フレームワーク・ツールの活用

言葉で合意し、図で確認し、プロトタイプで体感をそろえる。この3つを回すことで要件定義は強固になります。ここでは具体的に役立つフレームワークやツールを見ていきます。

次章からは、SaaS開発特有の論点に進みます。

ユーザーストーリーマッピング

ユーザーの行動を時系列に並べ、どの体験を最小構成で届けるかを見える化する手法です。横軸に行動の流れ、縦軸に優先度を配置することで、MVPの範囲を自然に導き出せます。複雑になりすぎないように、まずは主要な3つのフローに絞って整理すると実用的です。

ER図やデータフロー図

データの構造やシステム間の連携を図にすることで、関係者の認識がそろいます。ER図では「顧客」「契約」「請求」「支払い」といった不変の要素を中心に整理し、料金プランなど変化が多い要素は履歴管理や有効期限で柔軟に対応します。DFD(データフロー図)では外部サービス連携を含め、入力と出力を明確に可視化するのが効果的です。

プロトタイピング

Figmaなどのツールで画面の動きを早い段階で形にします。初回起動の流れをシナリオ化し、ユーザーが迷わず成果を出せるかを確認することが重要です。プロトタイプが仕様そのものになるため、命名規則やアクセシビリティ対応も同時に盛り込むと、実装に移るときのずれを減らせます。

要件管理ツールの導入

JiraやBacklogといったツールを使い、要件からタスク、リリースノートまでをひとつの流れで追えるようにします。テンプレートを整備し、「タイプ」「優先度」「影響範囲」「テストケース」などの項目を標準化することで、抜け漏れが減ります。

SaaS開発特有の要件と注意点

SaaSは「マルチテナント構造」「継続課金モデル」「法規制対応」がセットになっています。一般的なシステム開発とは違う論点を、要件定義で先に押さえることが求められます。

ここで紹介する3点を整理すると、事例の理解がより深まります。

スケーラビリティを考慮した設計

SaaSでは利用者数やデータ量が急増するケースを想定しておく必要があります。例えば「一括インポートは10万件まで」「処理はバックグラウンドで実行し、進捗をUIに表示する」といった具合に、規模拡大時の挙動を要件化します。初期だけでなく、継続的にデータが増えていく前提で、同期や移行の仕組みを設計しておくことがポイントです。

セキュリティ・認証要件

認証や権限設計はSaaSの要件定義で最も外せない項目です。SSO(シングルサインオン)、MFA(二要素認証)、IP制限、監査ログなどを必ず明記しておきます。権限は「閲覧・作成・編集・削除・承認」といった動詞で整理すると、実務と直結させやすくなります。さらに、生成AIを利用する場合の入力制限やログ保存方針なども、早めに要件化しておくと安全性が担保されます。

運用・保守を意識した設計

リリース後の運用を見越した要件も忘れてはいけません。障害時にどう通知するか、どの範囲を誰が担当するか、問い合わせの管理方法などをあらかじめ決めます。モニタリングは主要なSLI(応答時間、エラー率など)を常に可視化し、SLOの達成度で開発速度を調整できるようにすると、サービスの安定と改善のバランスを保てます。

成功事例から学ぶ要件定義

ここではスタートアップと大企業、それぞれの成功事例から得られる要件定義の型を紹介します。特定企業の事例に依存せず、再現性のある方法論としてまとめます。

次章では、JOOiのデザイナー実績と結び付けて実務での応用を考えます。

スタートアップの事例

少人数のチームでは、対象顧客を絞り込み、初期利用で成果が出る体験をMVPに落とし込みます。具体的には「登録→主要タスク→成果確認」を短期間で提供することに集中し、その他の機能は後に回します。監査ログや権限設計など最低限の非機能要件だけを初版から入れ、後の拡張に備える形です。

大企業での事例

複数部門が関わる場合は、最初に責任分担を明確にし、共通の非機能要件カタログを作ります。そのうえで、部門ごとの差分だけを追記する方式にすれば、議論の重複を避けられます。さらにPoC(概念実証)や限定リリースを挟んで段階的に展開することで、大規模な導入でもスムーズに進められます。

まとめ

SaaSの要件定義は「価値の約束」と「運用の基盤」を同時に設計する作業です。成功のためには、初期体験を短期間で実現するMVP設計、非機能要件を数値で定める姿勢、変更や合意を管理する仕組みが欠かせません。さらに、図やプロトタイプで体感をそろえ、KPIで進捗を測ることが重要です。

実務では「ユーザーストーリーマッピング→プロトタイピング→小規模リリース→段階展開」の流れを小さく回すことで、学習が蓄積されていきます。人材の観点では、SaaSに特化しつつ規制やUXの両立ができるデザイナーが鍵を握ります。JOOiのような審査制エージェントを活用し、早い段階から要件定義に強い人材を加えることで、合意形成と設計のスピードが大きく高まります。

次のスプリントプランニングから、本記事の視点をぜひ実践してみてください。

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SaaSは一度作れば終わりではなく、導入後の利用体験や継続率で成果が決まります。特に要件定義の質は、その後の開発スピードやコスト、サービスの満足度に直結します。最初にどのように整理し、どこまでを決めておくかで、後の進行は大きく変わります。本記事では要件定義の基本手順に加え、実務で役立つ工夫を具体的に解説します。日々の現場で迷いを減らす指針として活用してください。ぜひ最後までお読みください。

SaaS開発における要件定義の重要性

要件定義は単なる機能リストではなく「誰に何の価値を、どのように安定して届けるか」を決める工程です。ここを曖昧にしたまま進めると、後工程で認識が食い違い、修正に大きな工数とコストがかかります。SaaSの開発では、最初にサービスのコア価値と運用面の基準を定めておくことが不可欠です。

この重要性を理解したうえで、次章では具体的な進め方を整理していきます。

要件定義がSaaS成功を左右する理由

SaaSはサブスクリプションモデルです。ユーザーが初期利用で価値を感じなければ、すぐに解約につながります。そのため要件定義の段階で「最初にどの体験を届けるか」を数値付きで定めることが重要です。たとえば「初回請求書を発行するまでの所要時間を15分以内にする」と決めておけば、導入初期の体験を確実に支えられます。

さらに、運用段階で必要な監査ログや権限管理を要件に含めておくことで、リリース後の手戻りを減らせます。つまり要件定義は、価値の実感と運用の安定を同時に担保する土台なのです。

機能要件と非機能要件の整理

機能要件は「ユーザーが何をできるか」、非機能要件は「その操作をどれだけ快適かつ安全に行えるか」を定めます。SaaSの場合、非機能要件が解約防止に直結します。具体的には稼働率(例:99.9%)、応答速度(p95=1秒以内)、セキュリティ(MFAやSSO)、アクセシビリティ(WCAG基準)などです。

また、現場のデザイナーの多くがFigmaやPDF納品などのドキュメント運用に精通しており、要件定義の段階で「共有しやすい形式」を指定しておくことも実務上の成功につながります。

ウォーターフォールとアジャイルにおける要件定義

ウォーターフォールでは、要件を最初に固定し、その後は変更を許さない進め方をとります。一方アジャイルでは、仮説検証を繰り返しながら柔軟に変えていきます。SaaSではアジャイルの要素が不可欠ですが、すべてを流動的にすると混乱します。

そのため「固定する要素(顧客ターゲット、料金モデル、非機能要件)」と「柔軟に変える要素(UIの詳細、追加機能、価格施策)」を分けることが大切です。さらに意思決定の経緯をADR(決定記録)に残しておけば、誰でも判断の背景を理解でき、開発手法の違いがあっても整合性を保てます。

要件定義の基本的な方法(手順)

次に、現場で使える手順を順に整理します。各工程を「誰が、何をもって完了とするか」を明確にしておくと、進行がスムーズになります。

この流れを押さえたうえで、次章では実践的なコツを解説します。

現状分析と課題整理

まずは現状の業務やシステムを丁寧に把握します。どの工程で時間がかかっているのか、どこに手戻りが発生しているのかを数値で確認することが重要です。例えば「請求書発行に平均17分、そのうち手作業転記に11分」などです。この分析により、解決すべき課題が自然と浮かび上がります。

要求の収集と整理

要件はユーザー、顧客、オペレーション部門、法務など多方面から出てきます。ヒアリングでは「事実」「解釈」「要求」を分けて聞き、混同しないことが肝心です。整理の際にはステークホルダーマップやRACI表を活用し、誰が責任を持つかを明示しておくと後の調整がスムーズになります。

要件の優先順位付け

MoSCoW法(Must/Should/Could/Won’t)やKanoモデルを使い、機能の優先順位を整理します。特にSaaSでは「初期利用で価値を届けられるか」が重視されるため、導入初期のKPIに直結する要件をMustに設定します。一方、長期的にユーザー満足度に影響する要素はShouldやCouldに整理し、後で拡張できるようにします。

要件定義書の作成

要件定義書は、プロジェクトの“単一の参照点”として機能させることが大切です。スコープ、ペルソナ、ユーザーフロー、データモデル、非機能要件、KPI、変更管理プロセスなどを体系的にまとめます。NotionやConfluenceに格納し、誰でも最新の内容を確認できる状態にするのが望ましいです。Figmaのプロトタイプを添付して「仕様=体験」を一致させる工夫も効果的です。

実践で役立つ要件定義のコツ

手順だけでは不十分です。実際の現場では合意形成やスコープ管理などで迷いが生じやすいため、ここでは効果的な工夫を紹介します。

この工夫を取り入れることで、次章で触れる「失敗防止策」がより効きます。

ユーザーストーリーを明確化する

ユーザーストーリーは「誰が、何のために、何をしたいか」をシンプルにまとめます。さらに受け入れ基準を数値で書き添えると、開発側と利用側の認識が一致します。例えば「経理担当者として、未払金データを3分以内にCSVでインポートできる。エラーはUI上で修正可能」といった具合です。ストーリーマッピングで体験の時間軸と優先度を整理すれば、MVPに必要な機能が自然と見えてきます。

MVPを意識してスコープを絞る

最小限の製品(MVP)は「ひとつの体験を最後まで通せること」に集中させます。たとえば決済サービスなら「登録→支払い→領収書発行」の一連を通せることが最優先です。統計機能や高度な編集機能は後回しにし、まずは利用者が継続利用したくなる最小限の価値を届けることが肝要です。

ステークホルダーの合意形成

合意形成では「UIの実物」と「数字で示す効果」を用意することが効果的です。プロトタイプを見せながら、操作時間や工数削減の試算を示せば、感覚的な意見の対立を抑えられます。実際にJOOi主催のAIデザイン講座でも、71.7%が「現場での具体的効果」に関心を持ち、満足度も高い結果が出ています。

ドキュメント化と共有の徹底

ドキュメントは「短く、探しやすく、更新しやすく」を意識します。要件のサマリー、詳細、Figmaリンク、チケットへの連携をひとつの流れにまとめると迷いが減ります。変更点は必ずChange Logで明示し、背景はADRに残すと後から見直しやすくなります。特にPDFやスライド形式への対応は、クライアントや経営層との共有で効果的です。

要件定義の失敗を防ぐポイント

SaaS開発では「わかりにくさ」「変更への弱さ」「伝達不足」が失敗の原因になります。ここではそれぞれの典型例と防ぐための仕組みを整理します。

次に紹介するフレームワークやツールと組み合わせることで、さらに精度の高い要件定義が可能になります。

曖昧な表現を避ける

「使いやすい」「速い」といった主観的な表現は後に解釈の違いを生みます。必ず数値で表現しましょう。例えば「サインアップ完了率70%以上」「ダッシュボードの表示速度p95=800ms以下」といった形です。アクセシビリティも「キーボード操作のみで主要フローを完了可能」「代替テキストの網羅率100%」のように、完了状態を明確に記録しておくことが大切です。

変更管理プロセスを設ける

要件は必ず変わります。そのため、変更時のルールをあらかじめ決めておく必要があります。軽量なRFC(Request For Comments)やCCB(Change Control Board)を設け、「誰が、いつ、何を根拠に変更したか」を記録します。さらにFeature FlagやA/Bテストを運用に組み込み、「試してだめならすぐ戻す」仕組みを持っておくとリスクが抑えられます。

コミュニケーション不足を防ぐ

要件定義の段階での情報共有不足は、大きな手戻りにつながります。週次では「KPIの変化」「重大課題」「未決仕様」を短時間で確認し、月次では「SLOの達成度」「問い合わせ傾向」を共有するなど、定例の型をあらかじめ作っておくと安心です。また、要件を共有するときは文章だけでなく、図、プロトタイプ、短い操作動画を組み合わせることで、理解の速度が上がります。

フレームワーク・ツールの活用

言葉で合意し、図で確認し、プロトタイプで体感をそろえる。この3つを回すことで要件定義は強固になります。ここでは具体的に役立つフレームワークやツールを見ていきます。

次章からは、SaaS開発特有の論点に進みます。

ユーザーストーリーマッピング

ユーザーの行動を時系列に並べ、どの体験を最小構成で届けるかを見える化する手法です。横軸に行動の流れ、縦軸に優先度を配置することで、MVPの範囲を自然に導き出せます。複雑になりすぎないように、まずは主要な3つのフローに絞って整理すると実用的です。

ER図やデータフロー図

データの構造やシステム間の連携を図にすることで、関係者の認識がそろいます。ER図では「顧客」「契約」「請求」「支払い」といった不変の要素を中心に整理し、料金プランなど変化が多い要素は履歴管理や有効期限で柔軟に対応します。DFD(データフロー図)では外部サービス連携を含め、入力と出力を明確に可視化するのが効果的です。

プロトタイピング

Figmaなどのツールで画面の動きを早い段階で形にします。初回起動の流れをシナリオ化し、ユーザーが迷わず成果を出せるかを確認することが重要です。プロトタイプが仕様そのものになるため、命名規則やアクセシビリティ対応も同時に盛り込むと、実装に移るときのずれを減らせます。

要件管理ツールの導入

JiraやBacklogといったツールを使い、要件からタスク、リリースノートまでをひとつの流れで追えるようにします。テンプレートを整備し、「タイプ」「優先度」「影響範囲」「テストケース」などの項目を標準化することで、抜け漏れが減ります。

SaaS開発特有の要件と注意点

SaaSは「マルチテナント構造」「継続課金モデル」「法規制対応」がセットになっています。一般的なシステム開発とは違う論点を、要件定義で先に押さえることが求められます。

ここで紹介する3点を整理すると、事例の理解がより深まります。

スケーラビリティを考慮した設計

SaaSでは利用者数やデータ量が急増するケースを想定しておく必要があります。例えば「一括インポートは10万件まで」「処理はバックグラウンドで実行し、進捗をUIに表示する」といった具合に、規模拡大時の挙動を要件化します。初期だけでなく、継続的にデータが増えていく前提で、同期や移行の仕組みを設計しておくことがポイントです。

セキュリティ・認証要件

認証や権限設計はSaaSの要件定義で最も外せない項目です。SSO(シングルサインオン)、MFA(二要素認証)、IP制限、監査ログなどを必ず明記しておきます。権限は「閲覧・作成・編集・削除・承認」といった動詞で整理すると、実務と直結させやすくなります。さらに、生成AIを利用する場合の入力制限やログ保存方針なども、早めに要件化しておくと安全性が担保されます。

運用・保守を意識した設計

リリース後の運用を見越した要件も忘れてはいけません。障害時にどう通知するか、どの範囲を誰が担当するか、問い合わせの管理方法などをあらかじめ決めます。モニタリングは主要なSLI(応答時間、エラー率など)を常に可視化し、SLOの達成度で開発速度を調整できるようにすると、サービスの安定と改善のバランスを保てます。

成功事例から学ぶ要件定義

ここではスタートアップと大企業、それぞれの成功事例から得られる要件定義の型を紹介します。特定企業の事例に依存せず、再現性のある方法論としてまとめます。

次章では、JOOiのデザイナー実績と結び付けて実務での応用を考えます。

スタートアップの事例

少人数のチームでは、対象顧客を絞り込み、初期利用で成果が出る体験をMVPに落とし込みます。具体的には「登録→主要タスク→成果確認」を短期間で提供することに集中し、その他の機能は後に回します。監査ログや権限設計など最低限の非機能要件だけを初版から入れ、後の拡張に備える形です。

大企業での事例

複数部門が関わる場合は、最初に責任分担を明確にし、共通の非機能要件カタログを作ります。そのうえで、部門ごとの差分だけを追記する方式にすれば、議論の重複を避けられます。さらにPoC(概念実証)や限定リリースを挟んで段階的に展開することで、大規模な導入でもスムーズに進められます。

まとめ

SaaSの要件定義は「価値の約束」と「運用の基盤」を同時に設計する作業です。成功のためには、初期体験を短期間で実現するMVP設計、非機能要件を数値で定める姿勢、変更や合意を管理する仕組みが欠かせません。さらに、図やプロトタイプで体感をそろえ、KPIで進捗を測ることが重要です。

実務では「ユーザーストーリーマッピング→プロトタイピング→小規模リリース→段階展開」の流れを小さく回すことで、学習が蓄積されていきます。人材の観点では、SaaSに特化しつつ規制やUXの両立ができるデザイナーが鍵を握ります。JOOiのような審査制エージェントを活用し、早い段階から要件定義に強い人材を加えることで、合意形成と設計のスピードが大きく高まります。

次のスプリントプランニングから、本記事の視点をぜひ実践してみてください。

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