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投稿日:
2024.01.01
「Webデザインの勉強をしたのに、仕事が全然見つからない」「コンペに応募しても、返信すら来ない」「ポートフォリオを公開しても誰からも声がかからない」——そんな声を多く耳にするようになりました。
実際、「Webデザイナー 仕事 ない」「フリーランス デザイナー 案件 減った」などの検索が増えており、クリエイティブ業界において“仕事不足”を感じている人は少なくありません。
一方で、企業側からは「依頼したいけれど、信頼できるデザイナーが見つからない」「制作会社は高すぎて、個人に頼みたい」といった声も根強く存在しています。つまり、需要はあるのに、うまくマッチングできていない状況が起きているのです。
本記事では、Webデザイナーが「仕事がない」と感じる原因を冷静に分析し、それぞれに応じた具体的な対策を提示していきます。スキルや分野による仕事獲得の難易度、営業・発信力の重要性、地域による格差とその克服法、そして最後には高単価案件の例まで網羅的に解説します。
“ただのつくり手”から脱却し、時代に求められるデザイナーへと進化するためのヒントを、ぜひ手に入れてください。
デザイナーが仕事を得られない主な原因

スキル・ポートフォリオの問題
まず最も多い原因が、「ポートフォリオの中身が採用者の判断基準に合っていない」ことです。Webデザインの実務経験が浅い場合、「おしゃれな作品集」だけでは仕事を得るのは難しく、採用側が重視するのは「問題をどう解決したか」「成果につながったか」です。
たとえば以下のような構成が望まれます:
プロジェクトの目的(誰の、どんな課題を解決したか)
デザインに至る思考(リサーチや比較検討)
使用したツール・制作時間
クライアントやチームとのやりとり
定量的・定性的な成果(CTR改善、離脱率低下など)
また、PDFのみで完結させたり、スマホで見にくい仕様で提出するなど「体験設計の欠如」が見られる場合も評価を下げる原因になります。ポートフォリオサイト自体が“あなたのUX設計力を示す作品”であると考え、制作しましょう。
営業力・自己PR不足
どれだけスキルが高くても、「その存在を知られていない」「問い合わせにつながらない」状態では、当然仕事は来ません。Webデザイナーにとって営業は「特別な才能」ではなく、必須スキルです。
具体的には以下のような営業力が求められます:
自己紹介文のブラッシュアップ(成果にフォーカス)
SNSやポートフォリオサイトの活用
過去実績の発信(noteやブログなど)
提案書・見積書の作成力
案件応募時のメール文章(相手の事業理解があるか)
営業が苦手なデザイナーほど、「自己紹介の書き方」や「メールでの提案方法」を仕組み化・テンプレート化することで、一定の成果を出すことができます。闇雲に応募するのではなく、「この案件は自分ならどう貢献できるか?」を先回りして示す姿勢が重要です。
市場のミスマッチ
“やりたいこと”と“市場に求められていること”がずれているというミスマッチも、案件が取れない大きな原因のひとつです。
たとえば、印刷物・エディトリアル中心のデザイナーが、デジタルシフトの進む市場で仕事を探しても、明確な実績や適応力がない限り選ばれにくくなります。逆に、WebアプリのUI設計やLPの最適化といった“数字で評価しやすい”デザインは今も需要が高く、競争はあるものの実績さえあれば継続受注も期待できます。
また、技術的なトレンド(WebflowやSTUDIOなどのノーコードツール)に疎かったり、スマホ向けデザインへの理解が浅い場合も選ばれにくくなります。
市場の変化を把握し、ニーズがある分野で自分のスキルをどう活かせるかを定期的に棚卸ししていく姿勢が求められます。
価格設定の問題
案件が取れない原因として意外と多いのが、「適正価格がわかっていない」というケースです。安くしすぎると「スキルがないのでは?」と不安に思われ、高く設定しすぎると「この金額に見合う実績があるのか?」と疑念を持たれることもあります。
たとえば、以下は市場相場の一例です(2024年時点):
LPデザイン:5万〜15万円(構成含むと20万円超もあり)
WebアプリUI:月30万〜60万円(中長期案件が多い)
バナーデザイン:3000円〜1万円(量産系は単価が低い)
ロゴ・CI設計:10万円〜(ヒアリング・提案込み)
大切なのは「どの価格帯に自分の提供価値を合わせるか」を明確にすることです。たとえば、ヒアリング・構成案・UI設計までできるなら、単なる“作業者”ではなく“パートナー”として扱われ、単価も上がります。
また、見積書を提出する際には「制作に含まれる作業範囲」「修正対応の回数」「納品形式」「スケジュール」などを明確に記載し、コミュニケーションで安心感を与えることが信頼獲得の鍵になります。
デザイナーの仕事獲得の難易度と対策
Webデザイン分野での仕事獲得
Webデザインは最も参入者が多い分野であり、同時に競争が激しい領域でもあります。ノーコードツールの登場により、非デザイナーでもある程度のWebサイトが作れるようになったことで、従来型の「見た目の美しさだけを売りにするデザイナー」は選ばれにくくなりました。
この分野で生き残るには以下のような差別化が必要です:
「UX改善提案」を含めた設計力(例:Googleアナリティクスを用いたCV率改善)
WebflowやSTUDIOなど最新のノーコードツール対応
ディレクションやライティングも含めた“丸投げ対応”
さらに、クライアントが求める「成果につながるサイト」を提示できる提案力があると、リピート率や紹介率も格段に上がります。
グラフィックデザイン分野での仕事獲得
グラフィックデザインは出版物や印刷業界の縮小により、市場がやや縮小傾向にあります。特に紙媒体のみを専門としていると、案件数は限られ、単価競争にも巻き込まれやすくなります。
ただし、以下のような分野では依然としてニーズがあります:
SNS運用用の投稿画像
セールス資料やIR資料のビジュアライズ
インフォグラフィックや図解コンテンツの作成
イベントやブランドプロモーション用のビジュアル
Adobe IllustratorやPhotoshopに加えて、CanvaやFigmaなどのツールを使った“マルチツール対応”ができると、より幅広い案件に応募できるようになります。
UI/UXデザイン分野での仕事獲得
UI/UXデザイン分野は今最も注目されている領域の一つです。SaaSやWebアプリ開発の増加により、体験設計やユーザー視点での画面設計ができるデザイナーの需要は高まっています。
ただし、以下のようなスキルが求められるため、参入ハードルはやや高めです:
ユーザーインタビューやカスタマージャーニーの作成
Figmaを用いたインタラクティブプロトタイプの制作
UXリサーチ結果の言語化と改善施策の提案
チーム開発における仕様書・共有資料の作成
この分野では「過去にどのような課題を発見し、どう解決したか」を語れるポートフォリオが不可欠です。視覚の美しさだけでなく、“論理と実装をつなぐ”橋渡しができる人材が求められています。
デザイナーとしての営業力強化

SNSを活用した認知度向上
現在、多くのフリーランスデザイナーがSNSを通じて仕事を獲得しています。特にInstagramやX(旧Twitter)は、ポートフォリオ公開・ブランディング・クライアント接点の構築の3点で極めて効果的です。
Instagram:視覚的な実績紹介に最適。投稿にはプロジェクトのビフォーアフターや、デザイン意図、成果を簡潔に添えると信頼感が高まります。
X(旧Twitter):思考過程や知見の発信が可能。デザインTipsや日常の観察を投稿することで“考えられるデザイナー”という印象を与えられます。
noteやブログ:ポートフォリオより深掘りしたプロジェクト紹介、プロセスの説明、失敗談などを発信でき、検索経由の集客にもつながります。
SNSは“作品をただ見せる場”ではなく、“価値を言語化し、信頼を積み重ねる場”と捉えましょう。
クライアントとの効果的なコミュニケーション
仕事を依頼したいと感じさせるには、スムーズで誠実なやりとりが欠かせません。以下のような対応が、案件獲得の成否を分けます。
初回ヒアリングでの質問設計:目的・ターゲット・納期・競合など、網羅的に引き出すことで「この人なら任せられる」と思ってもらえます。
見積書・提案書の提出:NotionやGoogleスライドを活用し、見積金額だけでなく、進め方やスケジュール感も丁寧に伝えましょう。
進捗報告の頻度と粒度:週1など定期的にSlack・Chatworkで進捗を共有すると、信頼度が一気に上がります。
最終的なクオリティも重要ですが、「安心してやり取りできる人かどうか」がリピートや紹介につながる最大の要因です。
ネットワーキングと人脈形成
オンラインで完結する案件が多いとはいえ、長期的な仕事獲得には“人とのつながり”が非常に大きな意味を持ちます。
デザイン系の勉強会やイベントへの参加
共創型のワークショップ(UX Days、Figma Meetupなど)
オンラインサロンや業界Slackコミュニティへの参画
過去クライアントへの定期的な連絡・近況報告
これらは直接仕事につながることもあれば、紹介を生む「信頼の土壌」を育てることにもつながります。
デザイナーの地域格差
東京・大阪などの都市部での戦略
都市部は案件数も多い反面、競争も激しく、レベルの高いデザイナーとの比較に晒される環境です。その中で差別化するには、ニッチ分野に特化するか、特定の業界理解を深めることが有効です。
たとえば、
医療系LP専門
SaaS系スタートアップ向けUI改善特化
リブランディング+デザインガイドライン構築支援
など、技術よりも「対象」や「提供スタイル」で自分の強みを明確に打ち出すことで、価格競争に巻き込まれずに済みます。
地方在住デザイナーの活路
地方在住でも、リモート案件の増加により十分に活躍できます。ただし、営業や信頼構築をオンラインで完結させるため、発信力と対応力がより重要になります。
地方ならではの戦い方としては、
地元企業のDX化・Web強化ニーズに対応する
製造業や観光業など、地域密着型ビジネスに特化する
都市部の企業に対し「地方価格+高品質」で提案する
などの戦略が有効です。
グローバル市場への挑戦
英語力や時差対応が必要ですが、海外案件に挑戦することで市場は一気に広がります。特に「日本人デザイナー特有の繊細さ」は海外クライアントから高評価を得ることもあります。
Upwork、Fiverrなどの海外プラットフォーム活用
WebflowやFramerなど、国際的に使われるツールに慣れておく
時差対応と納期遵守で信頼を構築
実際、時給ベースで見ると海外案件の方が高単価なことも多く、グローバル志向のある方には有望な選択肢です。
まとめ
「Webデザイナーは仕事がない」という声が多く聞かれる現代。しかしその背景には、“案件そのものが存在しない”のではなく、“適切な提案とマッチングができていない”という構造的な課題が潜んでいます。
仕事が取れない主な原因としては、
スキルやポートフォリオの不足
営業・発信力の弱さ
市場や価格の理解不足
地域特性とのギャップ
などが挙げられます。逆に言えば、これらを一つずつ改善していけば、「選ばれるデザイナー」に着実に近づくことができるのです。
自分の強みを知り、求められる分野に合わせて打ち出し方を工夫し、丁寧なコミュニケーションを積み重ねる——それが、継続して仕事を得るための最短ルートです。
そして、実際に高単価・好条件の案件を受けているデザイナーたちは、必ずしも“特別な才能”を持っているわけではありません。“努力の方向性”が合っているかどうかが、成否を分けているのです。
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