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UI/UXデザインツールのおすすめは?選定基準も解説
投稿日:
2024.01.01
UI/UXデザインの現場は、わずか数年で大きく変わりました。特に2025年現在、デザインツールの進化と市場の統合は加速し、ツールの選定がプロジェクト成功の成否を左右するレベルに達しています。
かつてはPhotoshopやIllustratorが主役を務めていた時代から、クラウドベースのコラボレーションツールが中心となり、さらにAIが加わったことで「デザイン」自体を改めて再認識し捉え直すという動きも散見されます。
Figmaの圧倒的な市場支配、Adobe XDのサービス終了、そして生成AIによるワークフロー自動化。これらはすべて、UI/UXデザイナーの仕事の範囲と質を変えています。

本記事では、最新のツール動向、選定基準、そしてDesignOpsやKPI連動の観点から見た運用の最適解を提示します。ぜひ最後までご覧ください。
UI/UXデザインツールとは
UI(User Interface)デザインツールは、ユーザーが直接操作する画面や要素の見た目・配置・インタラクションを設計するためのソフトウェアです。
UX(User Experience)デザインツールは、ユーザーが製品やサービスを利用する体験全体を設計・可視化することに重点を置きます。
近年のツールは、UI/UXそれぞれの用途に対して統合的に扱えることが特徴です。従来型の静的デザインソフトと異なる点は、以下の3つです。
コラボレーションのリアルタイム化
プロトタイピングと開発連携の統合
拡張性と自動化
UI/UXデザインツールは今や単なる制作環境ではなく、要件定義から運用改善までを一気通貫で支える「プロジェクトOS」となっています。
デザインプロセスにおけるツールの役割
ツールはプロダクトライフサイクルの各フェーズで異なる価値を発揮します。
企画・要件定義
設計フェーズ
検証フェーズ
開発引き渡し
運用・改善
UI/UXデザインツールのシェア
2025年現在、Figmaが市場の80%以上を占有し、特に企業利用では標準ツールとして定着しています。
Adobe XDは2023年に新規販売を終了し、既存サポートのみ継続。これを契機に、多くの企業がFigmaへ移行しました。移行過程ではデザインシステムの再構築やコンポーネント命名規則の整備、アクセシビリティ対応の組み込みなど、運用設計を見直す動きが広がりました。
AIの台頭も無視できません。Figma AIはテキスト案生成、コンポーネント提案、画像編集を自動化し、UXPinでは状態遷移やバリデーションを含むコード接地型プロトタイプの生成が可能です。これにより、ツールは「描く場所」から「意思決定の加速装置」へと進化しました。
おすすめのUI/UXデザインツール
Figma
FigmaはUI/UXデザインの現場で事実上の標準となっていますが、導入後の効果は「運用設計」に大きく依存します。
特にVariables(変数)とDesign Tokens(デザイントークン)の適切な活用は、複数ブランドや多言語対応案件で圧倒的な効率差を生みます。
例えば、ブランドごとに色やタイポグラフィをVariablesとして設定し、Tokensでグループ化すれば、1つのマスターライブラリから複数ブランド展開が可能です。カラーパレットを変更すれば、全ブランドに即時反映でき、開発側もCSS変数と直結させやすくなります。
Dev Modeの活用も重要です。開発者が必要な情報(コードスニペット、寸法、アセット)を自ら取得できるため、従来の「画像書き出し依頼」や「仕様書PDF作成」といった中間作業を削減できます。さらに、Figma AIを組み合わせることで、ラベル文言案やアイコン案の自動提案、テキスト翻訳補助まで可能になり、国際展開案件でも有効です。
強み: リアルタイムコラボ、Variables/トークン管理、Dev Mode、AI機能
適性: 大規模チーム、複数ブランド展開、開発者との密連携が必要な案件
補足: 変数とトークンの階層化でブランド間の一貫性と変更容易性を両立可能。
Sketch
SketchはMac専用という制約がありながらも、根強い人気を保っています。その理由は動作の軽さとシンプルなUI、そして豊富なプラグインエコシステムです。
特にInVisionやZeplinと連携したデザイン共有、Symbol機能によるコンポーネント管理は、Web制作やアプリ開発において堅実な成果をもたらします。
一方で、リアルタイム共同編集やブラウザベースのアクセスはFigmaに劣るため、チームが小規模かつMac統一環境であることが理想です。例えば2〜3人でブランドサイトやキャンペーンページを短期間で作る場合、軽快なSketchのワークフローが活きます。
強み: Mac専用の軽快な操作感、プラグインによる柔軟性
適性: 小規模チーム、オフライン作業重視の現場
制約: プラットフォーム制限があるため、多環境協業には不向き。
Adobe Creative Suite
UIデザインの中でも、ビジュアル要素の作り込みやブランド資産の統合にはAdobe Creative Suiteが欠かせません。
Photoshopは高解像度画像の加工や合成、Illustratorはアイコンやロゴなどのベクター制作、After EffectsはUIモーションやアニメーションの検証に活用されます。
近年はLottie形式での書き出しが一般化し、After Effectsで制作したモーションを軽量データとしてWebやアプリに組み込むケースが増えています。この流れにより、「静止画+モーション」の一体設計が可能になり、UXの質を一段と引き上げられます。
強み: ビジュアル制作、質感表現、モーション制作(After Effects)
適性: ブランド表現や販促ビジュアルとUIを統合管理する案件
補足: Lottie連携で軽量アニメーションをUIに組み込める。
UXPin
UXPinの最大の特徴は、実装コードと同じコンポーネントをデザイン面で使えるMerge機能です。
導入には開発環境との連携が必要ですが、その効果は大きく、特にB2B SaaSや管理画面UIのように状態・権限・例外処理が複雑な案件で威力を発揮します。
例えば、フォームのバリデーション状態(正常・エラー・警告)や、ユーザー権限による表示制御をデザイン段階で完全再現できるため、受け入れテスト後の修正率を劇的に下げられます。ある案件では、UXPin Mergeの導入により再実装工数が40%削減されました。
強み: 実装コンポーネントを直接利用するMerge機能
適性: 状態遷移やバリデーションの多いB2B SaaS、管理画面
効果: 実装との乖離を最小化し、受け入れテスト後の修正コストを削減。
Proto.io
モバイルアプリ案件では、画面デザインだけでは判断できない要素が多く存在します。ジェスチャーの反応速度、スクロールの慣性、トランジションの滑らかさなど、体感して初めて分かることが多いのです。
Proto.ioは、この「実機感覚での評価」を短期間で実現できます。ドラッグ&ドロップでUIを構築し、専用アプリでそのままテストできるため、ユーザビリティテストのハードルを下げられます。
強み: 実機レビュー、モバイルUIの触感検証
適性: モバイルアプリ、オンボーディングやマイクロインタラクションの評価
特徴: ジェスチャーやアニメーションの細部まで再現可能。
DesignOps運用の実務例

JOOiに登録しているデザイナーの現場では、DesignOpsの仕組み化が標準化しつつあります。例えば:
ライブラリの公開権限管理
Lintツールによる自動監査
アクセシビリティ監査の定期実行
アクセシビリティ対応
WCAG 2.2(W3C(World Wide Web Consortium)が2023年10月5日に勧告した、ウェブコンテンツのアクセシビリティに関する国際的なガイドラインの最新バージョン)では、ターゲットサイズ(ポインタで選択できる最小サイズ)、フォーカス可視性、ドラッグ操作の代替手段などが新たに強調されています。
Figmaでは、各コンポーネントの最小サイズをVariablesで設定し、誤って小さく修正されないよう制御する手法があります。UXPinではキーボード操作のシミュレーションが可能で、Tabキーでフォーカス移動を確認しながらUI設計を行えます。
こうした設計初期からの組み込みにより、後工程での修正コストを50%以上削減できた事例もあります。
まとめ
UI/UXデザインツールは、今や単なる制作環境ではなく、成果を生み出す運用基盤です。
Figmaの市場支配、Adobe XDの終了、AIやコード接地型ツールの進化により、選定時には機能だけでなく運用設計・KPI連動まで考えることが不可欠になりました。
重要なのは、
チームと案件に合ったツールの組み合わせ
Variablesやトークンでの一貫性維持
Dev Modeや事前検証での手戻り削減
DesignOpsによる運用ルール整備
これらを実務に落とし込むことで、品質と速度の両立が可能になります。
次のプロジェクトでは、ツール選びを成果までの最短ルートとして捉え、運用設計とセットで最適化してみてください。
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UI/UXデザインの現場は、わずか数年で大きく変わりました。特に2025年現在、デザインツールの進化と市場の統合は加速し、ツールの選定がプロジェクト成功の成否を左右するレベルに達しています。
かつてはPhotoshopやIllustratorが主役を務めていた時代から、クラウドベースのコラボレーションツールが中心となり、さらにAIが加わったことで「デザイン」自体を改めて再認識し捉え直すという動きも散見されます。
Figmaの圧倒的な市場支配、Adobe XDのサービス終了、そして生成AIによるワークフロー自動化。これらはすべて、UI/UXデザイナーの仕事の範囲と質を変えています。

本記事では、最新のツール動向、選定基準、そしてDesignOpsやKPI連動の観点から見た運用の最適解を提示します。ぜひ最後までご覧ください。
UI/UXデザインツールとは
UI(User Interface)デザインツールは、ユーザーが直接操作する画面や要素の見た目・配置・インタラクションを設計するためのソフトウェアです。
UX(User Experience)デザインツールは、ユーザーが製品やサービスを利用する体験全体を設計・可視化することに重点を置きます。
近年のツールは、UI/UXそれぞれの用途に対して統合的に扱えることが特徴です。従来型の静的デザインソフトと異なる点は、以下の3つです。
コラボレーションのリアルタイム化
プロトタイピングと開発連携の統合
拡張性と自動化
UI/UXデザインツールは今や単なる制作環境ではなく、要件定義から運用改善までを一気通貫で支える「プロジェクトOS」となっています。
デザインプロセスにおけるツールの役割
ツールはプロダクトライフサイクルの各フェーズで異なる価値を発揮します。
企画・要件定義
設計フェーズ
検証フェーズ
開発引き渡し
運用・改善
UI/UXデザインツールのシェア
2025年現在、Figmaが市場の80%以上を占有し、特に企業利用では標準ツールとして定着しています。
Adobe XDは2023年に新規販売を終了し、既存サポートのみ継続。これを契機に、多くの企業がFigmaへ移行しました。移行過程ではデザインシステムの再構築やコンポーネント命名規則の整備、アクセシビリティ対応の組み込みなど、運用設計を見直す動きが広がりました。
AIの台頭も無視できません。Figma AIはテキスト案生成、コンポーネント提案、画像編集を自動化し、UXPinでは状態遷移やバリデーションを含むコード接地型プロトタイプの生成が可能です。これにより、ツールは「描く場所」から「意思決定の加速装置」へと進化しました。
おすすめのUI/UXデザインツール
Figma
FigmaはUI/UXデザインの現場で事実上の標準となっていますが、導入後の効果は「運用設計」に大きく依存します。
特にVariables(変数)とDesign Tokens(デザイントークン)の適切な活用は、複数ブランドや多言語対応案件で圧倒的な効率差を生みます。
例えば、ブランドごとに色やタイポグラフィをVariablesとして設定し、Tokensでグループ化すれば、1つのマスターライブラリから複数ブランド展開が可能です。カラーパレットを変更すれば、全ブランドに即時反映でき、開発側もCSS変数と直結させやすくなります。
Dev Modeの活用も重要です。開発者が必要な情報(コードスニペット、寸法、アセット)を自ら取得できるため、従来の「画像書き出し依頼」や「仕様書PDF作成」といった中間作業を削減できます。さらに、Figma AIを組み合わせることで、ラベル文言案やアイコン案の自動提案、テキスト翻訳補助まで可能になり、国際展開案件でも有効です。
強み: リアルタイムコラボ、Variables/トークン管理、Dev Mode、AI機能
適性: 大規模チーム、複数ブランド展開、開発者との密連携が必要な案件
補足: 変数とトークンの階層化でブランド間の一貫性と変更容易性を両立可能。
Sketch
SketchはMac専用という制約がありながらも、根強い人気を保っています。その理由は動作の軽さとシンプルなUI、そして豊富なプラグインエコシステムです。
特にInVisionやZeplinと連携したデザイン共有、Symbol機能によるコンポーネント管理は、Web制作やアプリ開発において堅実な成果をもたらします。
一方で、リアルタイム共同編集やブラウザベースのアクセスはFigmaに劣るため、チームが小規模かつMac統一環境であることが理想です。例えば2〜3人でブランドサイトやキャンペーンページを短期間で作る場合、軽快なSketchのワークフローが活きます。
強み: Mac専用の軽快な操作感、プラグインによる柔軟性
適性: 小規模チーム、オフライン作業重視の現場
制約: プラットフォーム制限があるため、多環境協業には不向き。
Adobe Creative Suite
UIデザインの中でも、ビジュアル要素の作り込みやブランド資産の統合にはAdobe Creative Suiteが欠かせません。
Photoshopは高解像度画像の加工や合成、Illustratorはアイコンやロゴなどのベクター制作、After EffectsはUIモーションやアニメーションの検証に活用されます。
近年はLottie形式での書き出しが一般化し、After Effectsで制作したモーションを軽量データとしてWebやアプリに組み込むケースが増えています。この流れにより、「静止画+モーション」の一体設計が可能になり、UXの質を一段と引き上げられます。
強み: ビジュアル制作、質感表現、モーション制作(After Effects)
適性: ブランド表現や販促ビジュアルとUIを統合管理する案件
補足: Lottie連携で軽量アニメーションをUIに組み込める。
UXPin
UXPinの最大の特徴は、実装コードと同じコンポーネントをデザイン面で使えるMerge機能です。
導入には開発環境との連携が必要ですが、その効果は大きく、特にB2B SaaSや管理画面UIのように状態・権限・例外処理が複雑な案件で威力を発揮します。
例えば、フォームのバリデーション状態(正常・エラー・警告)や、ユーザー権限による表示制御をデザイン段階で完全再現できるため、受け入れテスト後の修正率を劇的に下げられます。ある案件では、UXPin Mergeの導入により再実装工数が40%削減されました。
強み: 実装コンポーネントを直接利用するMerge機能
適性: 状態遷移やバリデーションの多いB2B SaaS、管理画面
効果: 実装との乖離を最小化し、受け入れテスト後の修正コストを削減。
Proto.io
モバイルアプリ案件では、画面デザインだけでは判断できない要素が多く存在します。ジェスチャーの反応速度、スクロールの慣性、トランジションの滑らかさなど、体感して初めて分かることが多いのです。
Proto.ioは、この「実機感覚での評価」を短期間で実現できます。ドラッグ&ドロップでUIを構築し、専用アプリでそのままテストできるため、ユーザビリティテストのハードルを下げられます。
強み: 実機レビュー、モバイルUIの触感検証
適性: モバイルアプリ、オンボーディングやマイクロインタラクションの評価
特徴: ジェスチャーやアニメーションの細部まで再現可能。
DesignOps運用の実務例

JOOiに登録しているデザイナーの現場では、DesignOpsの仕組み化が標準化しつつあります。例えば:
ライブラリの公開権限管理
Lintツールによる自動監査
アクセシビリティ監査の定期実行
アクセシビリティ対応
WCAG 2.2(W3C(World Wide Web Consortium)が2023年10月5日に勧告した、ウェブコンテンツのアクセシビリティに関する国際的なガイドラインの最新バージョン)では、ターゲットサイズ(ポインタで選択できる最小サイズ)、フォーカス可視性、ドラッグ操作の代替手段などが新たに強調されています。
Figmaでは、各コンポーネントの最小サイズをVariablesで設定し、誤って小さく修正されないよう制御する手法があります。UXPinではキーボード操作のシミュレーションが可能で、Tabキーでフォーカス移動を確認しながらUI設計を行えます。
こうした設計初期からの組み込みにより、後工程での修正コストを50%以上削減できた事例もあります。
まとめ
UI/UXデザインツールは、今や単なる制作環境ではなく、成果を生み出す運用基盤です。
Figmaの市場支配、Adobe XDの終了、AIやコード接地型ツールの進化により、選定時には機能だけでなく運用設計・KPI連動まで考えることが不可欠になりました。
重要なのは、
チームと案件に合ったツールの組み合わせ
Variablesやトークンでの一貫性維持
Dev Modeや事前検証での手戻り削減
DesignOpsによる運用ルール整備
これらを実務に落とし込むことで、品質と速度の両立が可能になります。
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UI/UXデザインの現場は、わずか数年で大きく変わりました。特に2025年現在、デザインツールの進化と市場の統合は加速し、ツールの選定がプロジェクト成功の成否を左右するレベルに達しています。
かつてはPhotoshopやIllustratorが主役を務めていた時代から、クラウドベースのコラボレーションツールが中心となり、さらにAIが加わったことで「デザイン」自体を改めて再認識し捉え直すという動きも散見されます。
Figmaの圧倒的な市場支配、Adobe XDのサービス終了、そして生成AIによるワークフロー自動化。これらはすべて、UI/UXデザイナーの仕事の範囲と質を変えています。

本記事では、最新のツール動向、選定基準、そしてDesignOpsやKPI連動の観点から見た運用の最適解を提示します。ぜひ最後までご覧ください。
UI/UXデザインツールとは
UI(User Interface)デザインツールは、ユーザーが直接操作する画面や要素の見た目・配置・インタラクションを設計するためのソフトウェアです。
UX(User Experience)デザインツールは、ユーザーが製品やサービスを利用する体験全体を設計・可視化することに重点を置きます。
近年のツールは、UI/UXそれぞれの用途に対して統合的に扱えることが特徴です。従来型の静的デザインソフトと異なる点は、以下の3つです。
コラボレーションのリアルタイム化
プロトタイピングと開発連携の統合
拡張性と自動化
UI/UXデザインツールは今や単なる制作環境ではなく、要件定義から運用改善までを一気通貫で支える「プロジェクトOS」となっています。
デザインプロセスにおけるツールの役割
ツールはプロダクトライフサイクルの各フェーズで異なる価値を発揮します。
企画・要件定義
設計フェーズ
検証フェーズ
開発引き渡し
運用・改善
UI/UXデザインツールのシェア
2025年現在、Figmaが市場の80%以上を占有し、特に企業利用では標準ツールとして定着しています。
Adobe XDは2023年に新規販売を終了し、既存サポートのみ継続。これを契機に、多くの企業がFigmaへ移行しました。移行過程ではデザインシステムの再構築やコンポーネント命名規則の整備、アクセシビリティ対応の組み込みなど、運用設計を見直す動きが広がりました。
AIの台頭も無視できません。Figma AIはテキスト案生成、コンポーネント提案、画像編集を自動化し、UXPinでは状態遷移やバリデーションを含むコード接地型プロトタイプの生成が可能です。これにより、ツールは「描く場所」から「意思決定の加速装置」へと進化しました。
おすすめのUI/UXデザインツール
Figma
FigmaはUI/UXデザインの現場で事実上の標準となっていますが、導入後の効果は「運用設計」に大きく依存します。
特にVariables(変数)とDesign Tokens(デザイントークン)の適切な活用は、複数ブランドや多言語対応案件で圧倒的な効率差を生みます。
例えば、ブランドごとに色やタイポグラフィをVariablesとして設定し、Tokensでグループ化すれば、1つのマスターライブラリから複数ブランド展開が可能です。カラーパレットを変更すれば、全ブランドに即時反映でき、開発側もCSS変数と直結させやすくなります。
Dev Modeの活用も重要です。開発者が必要な情報(コードスニペット、寸法、アセット)を自ら取得できるため、従来の「画像書き出し依頼」や「仕様書PDF作成」といった中間作業を削減できます。さらに、Figma AIを組み合わせることで、ラベル文言案やアイコン案の自動提案、テキスト翻訳補助まで可能になり、国際展開案件でも有効です。
強み: リアルタイムコラボ、Variables/トークン管理、Dev Mode、AI機能
適性: 大規模チーム、複数ブランド展開、開発者との密連携が必要な案件
補足: 変数とトークンの階層化でブランド間の一貫性と変更容易性を両立可能。
Sketch
SketchはMac専用という制約がありながらも、根強い人気を保っています。その理由は動作の軽さとシンプルなUI、そして豊富なプラグインエコシステムです。
特にInVisionやZeplinと連携したデザイン共有、Symbol機能によるコンポーネント管理は、Web制作やアプリ開発において堅実な成果をもたらします。
一方で、リアルタイム共同編集やブラウザベースのアクセスはFigmaに劣るため、チームが小規模かつMac統一環境であることが理想です。例えば2〜3人でブランドサイトやキャンペーンページを短期間で作る場合、軽快なSketchのワークフローが活きます。
強み: Mac専用の軽快な操作感、プラグインによる柔軟性
適性: 小規模チーム、オフライン作業重視の現場
制約: プラットフォーム制限があるため、多環境協業には不向き。
Adobe Creative Suite
UIデザインの中でも、ビジュアル要素の作り込みやブランド資産の統合にはAdobe Creative Suiteが欠かせません。
Photoshopは高解像度画像の加工や合成、Illustratorはアイコンやロゴなどのベクター制作、After EffectsはUIモーションやアニメーションの検証に活用されます。
近年はLottie形式での書き出しが一般化し、After Effectsで制作したモーションを軽量データとしてWebやアプリに組み込むケースが増えています。この流れにより、「静止画+モーション」の一体設計が可能になり、UXの質を一段と引き上げられます。
強み: ビジュアル制作、質感表現、モーション制作(After Effects)
適性: ブランド表現や販促ビジュアルとUIを統合管理する案件
補足: Lottie連携で軽量アニメーションをUIに組み込める。
UXPin
UXPinの最大の特徴は、実装コードと同じコンポーネントをデザイン面で使えるMerge機能です。
導入には開発環境との連携が必要ですが、その効果は大きく、特にB2B SaaSや管理画面UIのように状態・権限・例外処理が複雑な案件で威力を発揮します。
例えば、フォームのバリデーション状態(正常・エラー・警告)や、ユーザー権限による表示制御をデザイン段階で完全再現できるため、受け入れテスト後の修正率を劇的に下げられます。ある案件では、UXPin Mergeの導入により再実装工数が40%削減されました。
強み: 実装コンポーネントを直接利用するMerge機能
適性: 状態遷移やバリデーションの多いB2B SaaS、管理画面
効果: 実装との乖離を最小化し、受け入れテスト後の修正コストを削減。
Proto.io
モバイルアプリ案件では、画面デザインだけでは判断できない要素が多く存在します。ジェスチャーの反応速度、スクロールの慣性、トランジションの滑らかさなど、体感して初めて分かることが多いのです。
Proto.ioは、この「実機感覚での評価」を短期間で実現できます。ドラッグ&ドロップでUIを構築し、専用アプリでそのままテストできるため、ユーザビリティテストのハードルを下げられます。
強み: 実機レビュー、モバイルUIの触感検証
適性: モバイルアプリ、オンボーディングやマイクロインタラクションの評価
特徴: ジェスチャーやアニメーションの細部まで再現可能。
DesignOps運用の実務例

JOOiに登録しているデザイナーの現場では、DesignOpsの仕組み化が標準化しつつあります。例えば:
ライブラリの公開権限管理
Lintツールによる自動監査
アクセシビリティ監査の定期実行
アクセシビリティ対応
WCAG 2.2(W3C(World Wide Web Consortium)が2023年10月5日に勧告した、ウェブコンテンツのアクセシビリティに関する国際的なガイドラインの最新バージョン)では、ターゲットサイズ(ポインタで選択できる最小サイズ)、フォーカス可視性、ドラッグ操作の代替手段などが新たに強調されています。
Figmaでは、各コンポーネントの最小サイズをVariablesで設定し、誤って小さく修正されないよう制御する手法があります。UXPinではキーボード操作のシミュレーションが可能で、Tabキーでフォーカス移動を確認しながらUI設計を行えます。
こうした設計初期からの組み込みにより、後工程での修正コストを50%以上削減できた事例もあります。
まとめ
UI/UXデザインツールは、今や単なる制作環境ではなく、成果を生み出す運用基盤です。
Figmaの市場支配、Adobe XDの終了、AIやコード接地型ツールの進化により、選定時には機能だけでなく運用設計・KPI連動まで考えることが不可欠になりました。
重要なのは、
チームと案件に合ったツールの組み合わせ
Variablesやトークンでの一貫性維持
Dev Modeや事前検証での手戻り削減
DesignOpsによる運用ルール整備
これらを実務に落とし込むことで、品質と速度の両立が可能になります。
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