
ブランディングデザイナー
イギリス出身、20年のキャリアが語る「経営者の課題を解くデザイン」とは?ブランド戦略からUI/UXまで一気通貫で担うCliffさんの仕事論
投稿日:
2026/05/18
クライアントの課題を起点にデザインを設計し、ブランドアンケートによるリサーチから、ビジュアル制作・サイト構築まで一気通貫で担う。
今回、JOOiに在籍するデザイナーのCliffさんにインタビューしました。イギリス出身、大学卒業後に日本に渡り20年以上のキャリアを積んできたCliffさんは、グラフィックから始まり、アートディレクション、ブランド戦略、UI/UXまで、クリエイティブの全領域を横断するデザイナーです。
クライアントの課題を起点にデザインを設計し、ブランドアンケートによるリサーチから、ビジュアル制作・サイト構築まで一気通貫で担う。その仕事のスタイルがどのように形成されてきたのか。インタビュー形式でお届けします。
インタビューデザイナー紹介

Cliffさん
JOOi在籍デザイナー。
イギリス出身。大学でアートとメディアを専攻後、2006年に単身来日。
出版社でのアートディレクターを経て、制作会社でグラフィック・デジタル双方のクリエイティブを担当。
Sansan株式会社にてチーフ・グローバル・デザイナーを務めた後、フリーランスとして独立。スタートアップのブランドリニューアルから金融・ECプラットフォームのUI/UX設計まで、幅広い案件を一気通貫でリードしてきた。
ブランドアンケートや競合リサーチなど上流の調査設計から、ビジュアルデザイン・サイト構築まで対応できるのが強み。英語・スペイン語・日本語のマルチリンガル対応も可能。
キャリアについて
父のロゴ依頼が、すべての始まりだった
Q. デザインを始めたきっかけを教えてください。
Cliff:最初のきっかけは、父親からの依頼でした。イギリスでお店を持っていて、私が13〜14歳くらいの頃に「お店のロゴを作ってほしい」と言われたんです。グラフィックデザインに特別な興味があったわけではなかったんですが、パソコンを触るのが好きだったので試しにやってみました。
実際にやってみると、すごく楽しく、文字や色を組み合わせながら形にしていくプロセスが性に合っていて、父親に見せたらとても喜んでくれた。
「作ったものが誰かの役に立つ」という体験をしました。
それがデザインを始めたきっかけです。
東京で感じた熱量が、キャリアの転機になった
Q. 大学を卒業してから、なぜ日本へ?
Cliff:卒業後はイギリスの新聞社に入ってデザインの仕事をしていました。そのタイミングで、友人と3人で日本を訪れたんです。2004年のことです。最初から移住を考えていたわけではなかった。ただ、東京に来てみると、街全体から発されるエネルギーが全く違った。自分が育った小さな町とのコントラストもあって、「ここで仕事をしたい」という気持ちが自然と湧いてきた。 2年後、ワーホリビザで単身来日しました。
Q. 実際に来てみてギャップはありましたか?
Cliff:想定の範囲内でした。言語の壁は来る前から織り込み済みで、日本語の習得は必須だと最初から決めていた。どの環境にも課題はあると思っていたので、それも含めて腹をくくって来た感じです。
デザインの仕事論
27歳でアートディレクターに。コミュニケーションと進行管理を叩き込まれた
Q. 日本でのキャリアはどのようにスタートしましたか?
Cliff:最初は出版社で、アートディレクターとして採用していただきました。27歳の時です。小規模な組織だったので、そのポジションを一人で担う形でした。 そこで鍛えられたのは、クライアントとのコミュニケーション設計とスケジュール管理です。印刷物の仕事は締め切りがシビアで、案件の全体像を把握した上で、やり取りの流れをゼロから組み立てる必要がある。デザインの技術だけでなく、プロジェクトを動かす力が求められる環境でした。
経験を積むほど、クライアントの意図を先読みできるようになった
Q. 仕事観で変わったことはありますか?
Cliff:出版社の後、制作会社でも働いたんですが、そこでの経験が大きかったですね。3案出して、フィードバックをもらって、修正して、というプロセスを繰り返す中で、自分の審美眼とクライアントが求めるものの間にあるギャップを、どう埋めるかを常に考えていました。
そこで意識するようになったのは、デザインの判断をクリエイティブブリーフに常に返すことです。「自分がいいと思うか」ではなく、「これはクライアントの課題を解いているか」を起点に置く。その軸が定まってからは、提案の精度が上がり、クライアントとの議論も前に進むようになりました。
フィードバックの受け取り方も変わりましたね。修正の指摘ではなく、「課題解決の精度を上げるための情報」として受け取れるようになった。そこからデザインの判断に一貫性が出てきた気がします。
実績紹介
ヒアリングから構築まで。インフラ×DXスタートアップのリブランディングを一人で担った
Q. 印象に残っている案件を教えてください。
Cliff:M2Xというスタートアップ企業のビジュアルアイデンティティのリニューアルです。製造・ホテル・飲食など複数業界向けに、設備保全・施設管理業務をDX支援するプラットフォームです。既存のブランドはありましたが、青系を基調としたカラーと無機質なビジュアルが「冷たさ・距離感」を生んでいた。ユーザーや採用候補者との関係構築という観点で、ブランドの刷新が必要な状態でした。
Q. どのように進めましたか?
Cliff:まず既存ブランドの現状を整理し、競合のCMMS(設備管理システム)各社のブランドをリサーチしました。業界全体がブルーやレッドに偏っていたので、そこから差別化するポジショニングを設計することが一つの軸になりました。 並行して、ブランドアンケートをクライアントに送りました。ブランドパーソナリティの方向性を問う設問が複数あり、回答結果を起点に方向性を整理することで、提案に根拠が生まれ、クライアントとの議論が具体的に進みます。M2Xが掲げる新しいミッション「すべての産業を、確かに、動かす。」も、ビジュアル探索の重要な起点になりました。
Q. 提案はどのように行いましたか?
Cliff:3つのロゴ方向性を、それぞれコンセプトと印刷・デジタル両面のモックアップを添えて提案しました。
最終的に選ばれたのは、「M」の頭文字・上向きの動き・製造現場のイメージを組み合わせたロゴマークです。ブランドカラーも、競合が多用するブルー・レッドとは一線を画すグリーン系に設定しました。
私個人の好みとは異なる案でしたが、クライアントの選択にはブランドのストーリーと届けたい相手への意図が明確にあった。デザインはつくり手の審美眼ではなく、ブランドの文脈と受け手への設計で決まるものだと思っています。
その後、タイポグラフィ、カラーパレット、グリッドシステムまで設計し、WordPressでWebサイトも構築しました。期間は3ヶ月、担当は一人です。
Q. この案件での成果はいかがでしたか?
Cliff:クライアント獲得と採用の両面で効果が出たと聞いています。リブランディング後はチームのノベルティや社内コンテンツにもブランドが活用されるようになり、インナーブランディングにも波及していった。 ミッションを持つことと、そのミッションをどう伝えるかは別の話です。ブランドはその「伝え方」の設計だと、この案件で改めて実感しました。
要件定義から画面設計まで。金融・ECプラットフォームのUI/UX案件での動き方
Q. ブランディング以外のUI/UX案件についても教えてください。
Cliff:ソフトウェア開発会社との契約の中で、金融機関やECプラットフォームのUI/UXデザイン、デザインシステムの構築といったプロジェクトを担当しました。 プロダクトマネージャーから共有される要件定義書を読み込み、「必須要件」「追加要件」「スコープ外」を整理した上で、体験設計とUI制作に入っていきます。ビジュアルを作る前に、プロダクトの目的と制約を正確に把握することが前提です。
Q. UI/UXとブランディング、どちらに軸足を置いていますか?
Cliff:好みで言えばブランディングです。ただ、UI/UXも含めてどちらも対応できます。 特に得意としているのは、0→1のフェーズです。ブランドの立ち上げにしても、プロダクトの設計にしても、方向性が定まっていない段階から入り、構造ごと設計できる案件が自分の強みを発揮しやすい。
まとめ
20年のキャリアが語る、課題解決を起点にしたデザイン
Cliffさんのキャリアを通じて見えてくるのは、一貫した設計思想です。
ブランドアンケートによる調査設計、根拠を持った複数案の提案、ビジュアルからサイト構築まで一気通貫の実行。
それぞれが独立したスキルではなく、「クライアントの課題を解く」という起点から逆算された、一つのプロセスとして機能しています。
ブランディングとUI/UXを横断しながら、経営者が言語化しきれていない課題を構造化し、ビジュアルとして具体化する。そのプロセス全体を一人で担えるデザイナーは多くありません。 英語・スペイン語・日本語に対応できるバックグラウンドも、グローバル展開を視野に入れた企業や、海外市場へのブランディングを検討している組織にとっては即戦力になります。
0→1のプロジェクトや、ブランドと体験の再設計が求められるフェーズにある企業にとって、Cliffさんは特に適した選択肢になるはずです。 インタビュー記事は以上となります。最後までご拝読いただきありがとうございました。
JOOiでは、CliffさんのようにブランドからUI/UXまで上流から担えるデザイナーが在籍しています。 リブランディングや新規プロダクトの立ち上げ、デザイン体制の構築にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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投稿日:
2026/05/18
クライアントの課題を起点にデザインを設計し、ブランドアンケートによるリサーチから、ビジュアル制作・サイト構築まで一気通貫で担う。
今回、JOOiに在籍するデザイナーのCliffさんにインタビューしました。イギリス出身、大学卒業後に日本に渡り20年以上のキャリアを積んできたCliffさんは、グラフィックから始まり、アートディレクション、ブランド戦略、UI/UXまで、クリエイティブの全領域を横断するデザイナーです。
クライアントの課題を起点にデザインを設計し、ブランドアンケートによるリサーチから、ビジュアル制作・サイト構築まで一気通貫で担う。その仕事のスタイルがどのように形成されてきたのか。インタビュー形式でお届けします。
インタビューデザイナー紹介

Cliffさん
JOOi在籍デザイナー。
イギリス出身。大学でアートとメディアを専攻後、2006年に単身来日。
出版社でのアートディレクターを経て、制作会社でグラフィック・デジタル双方のクリエイティブを担当。
Sansan株式会社にてチーフ・グローバル・デザイナーを務めた後、フリーランスとして独立。スタートアップのブランドリニューアルから金融・ECプラットフォームのUI/UX設計まで、幅広い案件を一気通貫でリードしてきた。
ブランドアンケートや競合リサーチなど上流の調査設計から、ビジュアルデザイン・サイト構築まで対応できるのが強み。英語・スペイン語・日本語のマルチリンガル対応も可能。
キャリアについて
父のロゴ依頼が、すべての始まりだった
Q. デザインを始めたきっかけを教えてください。
Cliff:最初のきっかけは、父親からの依頼でした。イギリスでお店を持っていて、私が13〜14歳くらいの頃に「お店のロゴを作ってほしい」と言われたんです。グラフィックデザインに特別な興味があったわけではなかったんですが、パソコンを触るのが好きだったので試しにやってみました。
実際にやってみると、すごく楽しく、文字や色を組み合わせながら形にしていくプロセスが性に合っていて、父親に見せたらとても喜んでくれた。
「作ったものが誰かの役に立つ」という体験をしました。
それがデザインを始めたきっかけです。
東京で感じた熱量が、キャリアの転機になった
Q. 大学を卒業してから、なぜ日本へ?
Cliff:卒業後はイギリスの新聞社に入ってデザインの仕事をしていました。そのタイミングで、友人と3人で日本を訪れたんです。2004年のことです。最初から移住を考えていたわけではなかった。ただ、東京に来てみると、街全体から発されるエネルギーが全く違った。自分が育った小さな町とのコントラストもあって、「ここで仕事をしたい」という気持ちが自然と湧いてきた。 2年後、ワーホリビザで単身来日しました。
Q. 実際に来てみてギャップはありましたか?
Cliff:想定の範囲内でした。言語の壁は来る前から織り込み済みで、日本語の習得は必須だと最初から決めていた。どの環境にも課題はあると思っていたので、それも含めて腹をくくって来た感じです。
デザインの仕事論
27歳でアートディレクターに。コミュニケーションと進行管理を叩き込まれた
Q. 日本でのキャリアはどのようにスタートしましたか?
Cliff:最初は出版社で、アートディレクターとして採用していただきました。27歳の時です。小規模な組織だったので、そのポジションを一人で担う形でした。 そこで鍛えられたのは、クライアントとのコミュニケーション設計とスケジュール管理です。印刷物の仕事は締め切りがシビアで、案件の全体像を把握した上で、やり取りの流れをゼロから組み立てる必要がある。デザインの技術だけでなく、プロジェクトを動かす力が求められる環境でした。
経験を積むほど、クライアントの意図を先読みできるようになった
Q. 仕事観で変わったことはありますか?
Cliff:出版社の後、制作会社でも働いたんですが、そこでの経験が大きかったですね。3案出して、フィードバックをもらって、修正して、というプロセスを繰り返す中で、自分の審美眼とクライアントが求めるものの間にあるギャップを、どう埋めるかを常に考えていました。
そこで意識するようになったのは、デザインの判断をクリエイティブブリーフに常に返すことです。「自分がいいと思うか」ではなく、「これはクライアントの課題を解いているか」を起点に置く。その軸が定まってからは、提案の精度が上がり、クライアントとの議論も前に進むようになりました。
フィードバックの受け取り方も変わりましたね。修正の指摘ではなく、「課題解決の精度を上げるための情報」として受け取れるようになった。そこからデザインの判断に一貫性が出てきた気がします。
実績紹介
ヒアリングから構築まで。インフラ×DXスタートアップのリブランディングを一人で担った
Q. 印象に残っている案件を教えてください。
Cliff:M2Xというスタートアップ企業のビジュアルアイデンティティのリニューアルです。製造・ホテル・飲食など複数業界向けに、設備保全・施設管理業務をDX支援するプラットフォームです。既存のブランドはありましたが、青系を基調としたカラーと無機質なビジュアルが「冷たさ・距離感」を生んでいた。ユーザーや採用候補者との関係構築という観点で、ブランドの刷新が必要な状態でした。
Q. どのように進めましたか?
Cliff:まず既存ブランドの現状を整理し、競合のCMMS(設備管理システム)各社のブランドをリサーチしました。業界全体がブルーやレッドに偏っていたので、そこから差別化するポジショニングを設計することが一つの軸になりました。 並行して、ブランドアンケートをクライアントに送りました。ブランドパーソナリティの方向性を問う設問が複数あり、回答結果を起点に方向性を整理することで、提案に根拠が生まれ、クライアントとの議論が具体的に進みます。M2Xが掲げる新しいミッション「すべての産業を、確かに、動かす。」も、ビジュアル探索の重要な起点になりました。
Q. 提案はどのように行いましたか?
Cliff:3つのロゴ方向性を、それぞれコンセプトと印刷・デジタル両面のモックアップを添えて提案しました。
最終的に選ばれたのは、「M」の頭文字・上向きの動き・製造現場のイメージを組み合わせたロゴマークです。ブランドカラーも、競合が多用するブルー・レッドとは一線を画すグリーン系に設定しました。
私個人の好みとは異なる案でしたが、クライアントの選択にはブランドのストーリーと届けたい相手への意図が明確にあった。デザインはつくり手の審美眼ではなく、ブランドの文脈と受け手への設計で決まるものだと思っています。
その後、タイポグラフィ、カラーパレット、グリッドシステムまで設計し、WordPressでWebサイトも構築しました。期間は3ヶ月、担当は一人です。
Q. この案件での成果はいかがでしたか?
Cliff:クライアント獲得と採用の両面で効果が出たと聞いています。リブランディング後はチームのノベルティや社内コンテンツにもブランドが活用されるようになり、インナーブランディングにも波及していった。 ミッションを持つことと、そのミッションをどう伝えるかは別の話です。ブランドはその「伝え方」の設計だと、この案件で改めて実感しました。
要件定義から画面設計まで。金融・ECプラットフォームのUI/UX案件での動き方
Q. ブランディング以外のUI/UX案件についても教えてください。
Cliff:ソフトウェア開発会社との契約の中で、金融機関やECプラットフォームのUI/UXデザイン、デザインシステムの構築といったプロジェクトを担当しました。 プロダクトマネージャーから共有される要件定義書を読み込み、「必須要件」「追加要件」「スコープ外」を整理した上で、体験設計とUI制作に入っていきます。ビジュアルを作る前に、プロダクトの目的と制約を正確に把握することが前提です。
Q. UI/UXとブランディング、どちらに軸足を置いていますか?
Cliff:好みで言えばブランディングです。ただ、UI/UXも含めてどちらも対応できます。 特に得意としているのは、0→1のフェーズです。ブランドの立ち上げにしても、プロダクトの設計にしても、方向性が定まっていない段階から入り、構造ごと設計できる案件が自分の強みを発揮しやすい。
まとめ
20年のキャリアが語る、課題解決を起点にしたデザイン
Cliffさんのキャリアを通じて見えてくるのは、一貫した設計思想です。
ブランドアンケートによる調査設計、根拠を持った複数案の提案、ビジュアルからサイト構築まで一気通貫の実行。
それぞれが独立したスキルではなく、「クライアントの課題を解く」という起点から逆算された、一つのプロセスとして機能しています。
ブランディングとUI/UXを横断しながら、経営者が言語化しきれていない課題を構造化し、ビジュアルとして具体化する。そのプロセス全体を一人で担えるデザイナーは多くありません。 英語・スペイン語・日本語に対応できるバックグラウンドも、グローバル展開を視野に入れた企業や、海外市場へのブランディングを検討している組織にとっては即戦力になります。
0→1のプロジェクトや、ブランドと体験の再設計が求められるフェーズにある企業にとって、Cliffさんは特に適した選択肢になるはずです。 インタビュー記事は以上となります。最後までご拝読いただきありがとうございました。
JOOiでは、CliffさんのようにブランドからUI/UXまで上流から担えるデザイナーが在籍しています。 リブランディングや新規プロダクトの立ち上げ、デザイン体制の構築にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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イギリス出身、20年のキャリアが語る「経営者の課題を解くデザイン」とは?ブランド戦略からUI/UXまで一気通貫で担うCliffさんの仕事論
投稿日:
2026/05/18
クライアントの課題を起点にデザインを設計し、ブランドアンケートによるリサーチから、ビジュアル制作・サイト構築まで一気通貫で担う。
今回、JOOiに在籍するデザイナーのCliffさんにインタビューしました。イギリス出身、大学卒業後に日本に渡り20年以上のキャリアを積んできたCliffさんは、グラフィックから始まり、アートディレクション、ブランド戦略、UI/UXまで、クリエイティブの全領域を横断するデザイナーです。
クライアントの課題を起点にデザインを設計し、ブランドアンケートによるリサーチから、ビジュアル制作・サイト構築まで一気通貫で担う。その仕事のスタイルがどのように形成されてきたのか。インタビュー形式でお届けします。
インタビューデザイナー紹介

Cliffさん
JOOi在籍デザイナー。
イギリス出身。大学でアートとメディアを専攻後、2006年に単身来日。
出版社でのアートディレクターを経て、制作会社でグラフィック・デジタル双方のクリエイティブを担当。
Sansan株式会社にてチーフ・グローバル・デザイナーを務めた後、フリーランスとして独立。スタートアップのブランドリニューアルから金融・ECプラットフォームのUI/UX設計まで、幅広い案件を一気通貫でリードしてきた。
ブランドアンケートや競合リサーチなど上流の調査設計から、ビジュアルデザイン・サイト構築まで対応できるのが強み。英語・スペイン語・日本語のマルチリンガル対応も可能。
キャリアについて
父のロゴ依頼が、すべての始まりだった
Q. デザインを始めたきっかけを教えてください。
Cliff:最初のきっかけは、父親からの依頼でした。イギリスでお店を持っていて、私が13〜14歳くらいの頃に「お店のロゴを作ってほしい」と言われたんです。グラフィックデザインに特別な興味があったわけではなかったんですが、パソコンを触るのが好きだったので試しにやってみました。
実際にやってみると、すごく楽しく、文字や色を組み合わせながら形にしていくプロセスが性に合っていて、父親に見せたらとても喜んでくれた。
「作ったものが誰かの役に立つ」という体験をしました。
それがデザインを始めたきっかけです。
東京で感じた熱量が、キャリアの転機になった
Q. 大学を卒業してから、なぜ日本へ?
Cliff:卒業後はイギリスの新聞社に入ってデザインの仕事をしていました。そのタイミングで、友人と3人で日本を訪れたんです。2004年のことです。最初から移住を考えていたわけではなかった。ただ、東京に来てみると、街全体から発されるエネルギーが全く違った。自分が育った小さな町とのコントラストもあって、「ここで仕事をしたい」という気持ちが自然と湧いてきた。 2年後、ワーホリビザで単身来日しました。
Q. 実際に来てみてギャップはありましたか?
Cliff:想定の範囲内でした。言語の壁は来る前から織り込み済みで、日本語の習得は必須だと最初から決めていた。どの環境にも課題はあると思っていたので、それも含めて腹をくくって来た感じです。
デザインの仕事論
27歳でアートディレクターに。コミュニケーションと進行管理を叩き込まれた
Q. 日本でのキャリアはどのようにスタートしましたか?
Cliff:最初は出版社で、アートディレクターとして採用していただきました。27歳の時です。小規模な組織だったので、そのポジションを一人で担う形でした。 そこで鍛えられたのは、クライアントとのコミュニケーション設計とスケジュール管理です。印刷物の仕事は締め切りがシビアで、案件の全体像を把握した上で、やり取りの流れをゼロから組み立てる必要がある。デザインの技術だけでなく、プロジェクトを動かす力が求められる環境でした。
経験を積むほど、クライアントの意図を先読みできるようになった
Q. 仕事観で変わったことはありますか?
Cliff:出版社の後、制作会社でも働いたんですが、そこでの経験が大きかったですね。3案出して、フィードバックをもらって、修正して、というプロセスを繰り返す中で、自分の審美眼とクライアントが求めるものの間にあるギャップを、どう埋めるかを常に考えていました。
そこで意識するようになったのは、デザインの判断をクリエイティブブリーフに常に返すことです。「自分がいいと思うか」ではなく、「これはクライアントの課題を解いているか」を起点に置く。その軸が定まってからは、提案の精度が上がり、クライアントとの議論も前に進むようになりました。
フィードバックの受け取り方も変わりましたね。修正の指摘ではなく、「課題解決の精度を上げるための情報」として受け取れるようになった。そこからデザインの判断に一貫性が出てきた気がします。
実績紹介
ヒアリングから構築まで。インフラ×DXスタートアップのリブランディングを一人で担った
Q. 印象に残っている案件を教えてください。
Cliff:M2Xというスタートアップ企業のビジュアルアイデンティティのリニューアルです。製造・ホテル・飲食など複数業界向けに、設備保全・施設管理業務をDX支援するプラットフォームです。既存のブランドはありましたが、青系を基調としたカラーと無機質なビジュアルが「冷たさ・距離感」を生んでいた。ユーザーや採用候補者との関係構築という観点で、ブランドの刷新が必要な状態でした。
Q. どのように進めましたか?
Cliff:まず既存ブランドの現状を整理し、競合のCMMS(設備管理システム)各社のブランドをリサーチしました。業界全体がブルーやレッドに偏っていたので、そこから差別化するポジショニングを設計することが一つの軸になりました。 並行して、ブランドアンケートをクライアントに送りました。ブランドパーソナリティの方向性を問う設問が複数あり、回答結果を起点に方向性を整理することで、提案に根拠が生まれ、クライアントとの議論が具体的に進みます。M2Xが掲げる新しいミッション「すべての産業を、確かに、動かす。」も、ビジュアル探索の重要な起点になりました。
Q. 提案はどのように行いましたか?
Cliff:3つのロゴ方向性を、それぞれコンセプトと印刷・デジタル両面のモックアップを添えて提案しました。
最終的に選ばれたのは、「M」の頭文字・上向きの動き・製造現場のイメージを組み合わせたロゴマークです。ブランドカラーも、競合が多用するブルー・レッドとは一線を画すグリーン系に設定しました。
私個人の好みとは異なる案でしたが、クライアントの選択にはブランドのストーリーと届けたい相手への意図が明確にあった。デザインはつくり手の審美眼ではなく、ブランドの文脈と受け手への設計で決まるものだと思っています。
その後、タイポグラフィ、カラーパレット、グリッドシステムまで設計し、WordPressでWebサイトも構築しました。期間は3ヶ月、担当は一人です。
Q. この案件での成果はいかがでしたか?
Cliff:クライアント獲得と採用の両面で効果が出たと聞いています。リブランディング後はチームのノベルティや社内コンテンツにもブランドが活用されるようになり、インナーブランディングにも波及していった。 ミッションを持つことと、そのミッションをどう伝えるかは別の話です。ブランドはその「伝え方」の設計だと、この案件で改めて実感しました。
要件定義から画面設計まで。金融・ECプラットフォームのUI/UX案件での動き方
Q. ブランディング以外のUI/UX案件についても教えてください。
Cliff:ソフトウェア開発会社との契約の中で、金融機関やECプラットフォームのUI/UXデザイン、デザインシステムの構築といったプロジェクトを担当しました。 プロダクトマネージャーから共有される要件定義書を読み込み、「必須要件」「追加要件」「スコープ外」を整理した上で、体験設計とUI制作に入っていきます。ビジュアルを作る前に、プロダクトの目的と制約を正確に把握することが前提です。
Q. UI/UXとブランディング、どちらに軸足を置いていますか?
Cliff:好みで言えばブランディングです。ただ、UI/UXも含めてどちらも対応できます。 特に得意としているのは、0→1のフェーズです。ブランドの立ち上げにしても、プロダクトの設計にしても、方向性が定まっていない段階から入り、構造ごと設計できる案件が自分の強みを発揮しやすい。
まとめ
20年のキャリアが語る、課題解決を起点にしたデザイン
Cliffさんのキャリアを通じて見えてくるのは、一貫した設計思想です。
ブランドアンケートによる調査設計、根拠を持った複数案の提案、ビジュアルからサイト構築まで一気通貫の実行。
それぞれが独立したスキルではなく、「クライアントの課題を解く」という起点から逆算された、一つのプロセスとして機能しています。
ブランディングとUI/UXを横断しながら、経営者が言語化しきれていない課題を構造化し、ビジュアルとして具体化する。そのプロセス全体を一人で担えるデザイナーは多くありません。 英語・スペイン語・日本語に対応できるバックグラウンドも、グローバル展開を視野に入れた企業や、海外市場へのブランディングを検討している組織にとっては即戦力になります。
0→1のプロジェクトや、ブランドと体験の再設計が求められるフェーズにある企業にとって、Cliffさんは特に適した選択肢になるはずです。 インタビュー記事は以上となります。最後までご拝読いただきありがとうございました。
JOOiでは、CliffさんのようにブランドからUI/UXまで上流から担えるデザイナーが在籍しています。 リブランディングや新規プロダクトの立ち上げ、デザイン体制の構築にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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