
アートディレクター
曖昧をかたちにすることが、プロジェクトを前に進める。Okuさんが語る、デザイナーの本質的な価値
投稿日:
2026/09/02
今回ご紹介するのは、大手広告代理店でアートディレクターとしてキャリアを積み、2025年5月にフリーランスとして独立したOkuさんです。
大手飲料メーカーや自動車メーカーのデジタルコミュニケーションから、カーボンニュートラルブランドの立ち上げ、回転寿司のUX刷新まで。業界や規模を問わず、多様なプロジェクトに携わってきました。
本記事では、Okuさんのキャリアや実務での進め方、デザインに対する考え方を、インタビューをもとにまとめました。
チームを動かすデザイナーとはどういう存在か。上流からデザインに関わりたい方はもちろん、プロジェクトの推進力を高めたいと考えている事業責任者の方にとっても、参考になる内容です。ぜひ最後までご覧ください。
インタビュー者紹介
Okuさん

プロダクトデザインを志して法政大学デザイン工学部へ進学。卒業後はIMJ(現アクセンチュア)に入社し、大手飲料メーカーや自動車メーカーを含む多様な案件に携わる。10年間の在籍を経て、2025年5月にフリーランスとして独立。現在は小豆島を拠点に、スタートアップから大企業まで幅広くデザイン支援を行っている。
プロダクトから体験へ。10年のキャリアが形作ったもの
大規模案件の現場で得たもの、感じた限界
Q. デザイナーを志したきっかけから教えてください。
Oku:幼少期からプラモデルや工作が好きで、立体物をつくることにずっとワクワクしていました。今も3Dプリンターで何かつくったりするんですが、その延長でプロダクトデザインを志すようになりました。法政大学のデザイン工学部に進んだのも、ものづくりとデザイン思考を掛け合わせた領域に惹かれたからです。
ただ、入学してみると時代の変化を肌で感じました。プロダクトデザインの業界に進む同期がほとんどいなくて、みんな大手のインターネット企業やメディア企業に向かっていった。私の世代はちょうどその過渡期だったんだと思います。
Q. 新卒でIMJに入社されたのはなぜですか?
Oku:就職活動の中で広告代理店を目指していた時期がありました。博報堂のインターンシップにも参加したんですが、なんか違うなという感覚があって。そのタイミングでIMJというデジタルマーケティングに強みを持つ会社と出会い、ご縁があって入社しました。
入社してからは、本当に多様な案件を経験しました。1週間でコンペを出すような突貫作業が毎週続いて、1〜3ヶ月の案件を3〜4個同時並行でこなすような日々でした。大手飲料メーカーや自動車メーカーのデジタルコミュニケーション全般を担当するなど、規模の大きいプロジェクトに数多く携わることができました。 その後アクセンチュアに買収されてからも、なんだかんだ同じような働き方を10年間突き詰めてきた感じです。
Q. 大規模案件ならではの難しさはありましたか?
Oku:やはりプロジェクトの規模が大きくなると、本質的な課題から距離が遠くなりがちです。何百人という単位でプロジェクトに関わる中で、社内政治に紛れながら、どこにも需要がないサービスをつくるみたいなことも正直ありました。何のために仕事しているんだろう、と思う瞬間も多々あって。 そういう経験が、副業を始めるきっかけになりました。
価値はあるのに届かない、その現場に寄り添うために独立した
Q. 本業が忙しい中で副業を始めたのはなぜですか?
Oku:フリーランスへの独立を見据えたロードマップの一環でした。大規模案件では味わえない、コアメンバーとの距離感で仕事をしてみたかったんです。副業で支援していたスタートアップは、価値あるサービスやミッションを持っているのに世間に伝える術がない、デザインの必要性に駆られている人たちでした。そういった方々に寄り添ってデザインをやっていくことに、すごくやりがいを感じた。 それが独立への必然になっていきました。
Q. 独立の決断はいつ頃固まりましたか?
Oku:副業を通じてじわじわと固まっていった感じです。大規模案件で得た経験や対応力は今でも活きていますが、それよりも自分の裁量で世の中へのインパクトを実感できるプロジェクトにシフトしていきたいという気持ちが強くなっていきました。クライアントの代表やコアメンバーと近い距離で、一緒に課題に向き合える仕事をしていきたい。規模は小さくなるかもしれないけど、それでいいと思えた時に、独立を決めました。
共通認識を形にすることが、チームを動かす
形にして投げかけることで、チームの意志が揃っていく
Q. Okuさんがデザイナーとして最も得意とすることは何ですか?
Oku:可視化することだと思っています。プロジェクトにはいろんな価値観やモチベーションを持った人が集まっています。その中で、チームの中にある曖昧な認識や方向性をさっと形にして投げかけると、プロジェクトの意志が揃ったり、新たなアイデアが生まれたりする。そのスピード感と精度が、自分の一番の強みだと思っています。
Q. 形にして投げかけるとは、具体的にどういうことですか?
Oku:突飛なアイデアを出して目立とうとするわけではなくて、チームの中にある意志を引き出して具現化していくイメージです。みんなの頭の中にあるけど言葉にできていないものを、デザインという形で可視化する。 それをチームに投げかけることで、「そうそう、これだ」という共通認識が生まれる。そのフローが好きだし、得意だなと思っています。
大小問わず、期待を超えることがデザイナーの仕事
Q. クライアントとの関わり方で大切にしていることはありますか?
Oku:大小問わず、「そんな手があったか」と思わせることを意識しています。例えば先方が作っているパワポの1ページをちょっと良くするのも提案だし、プロジェクト全体の方向性を変えるような提案もある。デザインの本質は、クライアントの期待を超えていくことだと思っていて、それを大小問わずやり続けることが自分の仕事だと思っています。
Q. クライアントの期待を超えるために、意識していることはありますか?
Oku:基本は目の前にある課題にしっかり答えていくことです。戦略的にというよりは、課題に誠実に向き合った結果、プロジェクトの中心に入り込んでいくことができた、というケースが多いです。可視化することで困っている人全員が、自分のターゲットだと思っています。 webでもUXでも動画でも体験設計でも、目で見えるもの、体で感じられるもの全てにおいて、ご支援したいと思っています。
業界の常識を、体験から問い直した仕事
難しいテーマを、誰もが楽しめる体験に変える
Q. 印象に残っている実績について教えてください。
Oku:カーボンニュートラルへの取り組みをブランドとして立ち上げるプロジェクトに携わりました。エネルギー企業が2022年頃に発表した取り組みで、難しいテーマをいかに一般層に届けるか、というのがメインの課題でした。
最初のアサインは提案書用のUIをつくってくれ、という比較的小さな仕事でした。でも、そこでサービスの可能性を拡げるためにUIの観点でできることをいろいろ提案したところ、それが社内でささって。そこからどんどんプロジェクトの中心に入り込んでいくことができました。
Q. 具体的にどのような体験を設計したのですか?
Oku:コアのコンセプトとして、カーボンニュートラルへの取り組みは無理やりやることじゃなくて、自分の暮らしにフィットする自由な形があっていいんだよ、というメッセージを提案しました。それを表現するために、会員ごとに絶対に被らないビジュアルが生成される会員カードをつくったり、子ども向けのAR体験を実装したり。 デジタルだけでなく、代々木公園のイベントブースのディレクションや展示会の空間設計まで、幅広く担当しました。
チームは6〜7名のコアメンバーで動いていましたが、複数のプロジェクトを同時並行でこなしながら、外部のイベント会社とのやり取りも担っていました。前例が見つけづらい新しい概念を世の中に浸透させるミッションだったので、本当にいろいろ試しながら進んでいきましたね。
回転寿司の"当たり前"を、デジタルで再発明する
Q. もう一つの実績についても教えてください。
Oku:回転寿司のレーンをまるごとデジタル化するプロジェクトです。回転寿司のレーンをまるごとデジタル化するプロジェクトです。フードロスなど従来の回転寿司が抱える課題を体験ごとアップデートしていく大きな取り組みでした。 物理的なレーンをデジタルへ転換し、ソファー席の横一面が画面になってそこにお寿司が流れるような、新しい体験を設計していきました。
タッチして注文できるのはもちろん、ゲームができたり、IPコラボが実現できたり。既存の注文体験をしっかり担保しながら、大きな画面だからこそできる新しいお寿司との出会い方を設計していきました。
Q. このプロジェクトで大変だったことはありますか?
Oku:つくること自体は本当に楽しかったです。ただ、全く前例のないプロダクトだったので、細かい検証がとにかく多かった。実際に着座した時のタッチ可能な範囲や最小フォントサイズの検証など、地道な作業の積み重ねがありました。また、社長案件だったこともあり、役員会でのプレゼンに同席するなど、新しいからこその不安をどう超えていくかという部分も大変でしたね。 ただ、今では事業の柱としてしっかり定着してくれているので、やりきった達成感があります。
AIが変えた、デザイナーとしての働き方
任せられる作業はAIへ。クリエイティブに集中する環境をつくる
Q. 実務の中でAIをどのように活用していますか?
Oku:イラストの展開など、想像がつく範囲の作業はAIに任せるようにしています。キーとなるイラストを1つつくったら、複数種類の展開はAIに生成してもらう。FigmaのAI機能で素案を生成するといった使い方も取り入れています。
フリーランスになってから、クリエイティブだけに集中できていた前職と違い、情報設計やコピーライティングまで自分でやらなければならない場面が増えました。事例の収集やライティングの清書など、AIを使うことで一人でカバーできる範囲が広がっています。
AIで守備範囲を広げ、一人でできることを増やす
Q. AI活用で今後挑戦したいことはありますか?
Oku:プライベートでvibe codingを使ってwebアプリを自作してリリースしてみたりと、コーディング領域にも少しずつ踏み込んでいます。コーディングができるようになるとプロトタイプの精度が上がって、提案力の強化に直結すると思っていて。まだ実務には取り入れられていないんですが、今後やっていきたい一番のポイントです。
デザイナーとしての守備範囲を広げるためにAIを使う、という感覚が強いですね。効率化というより、AIがあるからこそ一人でできることが増えて、クライアントへの提案の幅も広がっていく。 そういう使い方を追求していきたいと思っています。
デザインが、まだ届いていない場所へ
暮らしの中の課題に、デザイン思考で向き合う
Q. 今後挑戦していきたいことを教えてください。
Oku:整理されたLP制作やサイトリニューアルだけじゃなくて、デザインで解決できることをもっと探していきたいという思いがあります。極端な話、例えば私が住んでいる小豆島には回覧板の文化があるんですが、80代の方もいる中でいきなりLINEグループを作りましょうとはならない。でも名簿を見やすくして回覧の時間を短縮する仕組みを考えるとか、小さいことでも、そういう暮らしの中にある課題にデザイン思考で向き合っていけるような役割に就いていきたいんです。
企業やビジネスに閉じず、まだ入り込めていないを持っていない領域にもデザインを届けていきたい。デザインって職人的なクラフトのイメージを持たれることがまだ多いですが、本来は課題解決の手段。 学生時代にデザイン工学部で学んだデザイン思考を、もっといろんな場所で発揮していきたいと思っています。
まとめ
Okuさんにとってデザインとは、あらゆる課題解決の手段です。チームの認識を揃えるために形にして投げかけたり、伝わらない価値を誰かに届けるために可視化したり。そのツールとしてデザインを使いこなすことが、Okuさんの強みです。
大規模案件で培った対応力と柔軟性を持ちながら、フリーランスとして独立した今は、クライアントのコアメンバーと近い距離で本質的な課題に向き合うことを選んでいます。
そしてこれからは、企業やビジネスに閉じず、デザインがまだ届いていない場所へ。暮らしの中にある課題にデザイン思考で向き合っていきたいという思いを持つOkuさんと一緒にプロジェクトに取り組んでみたい方は、ぜひJOOiまでお問い合わせください。
以下のようなお悩みをお持ちの方は、お気軽にご相談ください。
チームの認識がバラバラで、プロジェクトがうまく前に進まない
デザインの上流から一緒に課題に向き合えるパートナーが欲しい
業界や規模を問わず、柔軟に対応できるデザイナーと仕事がしたい
JOOiはハイレベルデザイナーマッチングサービスを運営しています。上記のようなお悩みがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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曖昧をかたちにすることが、プロジェクトを前に進める。Okuさんが語る、デザイナーの本質的な価値
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2026/09/02
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大手飲料メーカーや自動車メーカーのデジタルコミュニケーションから、カーボンニュートラルブランドの立ち上げ、回転寿司のUX刷新まで。業界や規模を問わず、多様なプロジェクトに携わってきました。
本記事では、Okuさんのキャリアや実務での進め方、デザインに対する考え方を、インタビューをもとにまとめました。
チームを動かすデザイナーとはどういう存在か。上流からデザインに関わりたい方はもちろん、プロジェクトの推進力を高めたいと考えている事業責任者の方にとっても、参考になる内容です。ぜひ最後までご覧ください。
インタビュー者紹介
Okuさん

プロダクトデザインを志して法政大学デザイン工学部へ進学。卒業後はIMJ(現アクセンチュア)に入社し、大手飲料メーカーや自動車メーカーを含む多様な案件に携わる。10年間の在籍を経て、2025年5月にフリーランスとして独立。現在は小豆島を拠点に、スタートアップから大企業まで幅広くデザイン支援を行っている。
プロダクトから体験へ。10年のキャリアが形作ったもの
大規模案件の現場で得たもの、感じた限界
Q. デザイナーを志したきっかけから教えてください。
Oku:幼少期からプラモデルや工作が好きで、立体物をつくることにずっとワクワクしていました。今も3Dプリンターで何かつくったりするんですが、その延長でプロダクトデザインを志すようになりました。法政大学のデザイン工学部に進んだのも、ものづくりとデザイン思考を掛け合わせた領域に惹かれたからです。
ただ、入学してみると時代の変化を肌で感じました。プロダクトデザインの業界に進む同期がほとんどいなくて、みんな大手のインターネット企業やメディア企業に向かっていった。私の世代はちょうどその過渡期だったんだと思います。
Q. 新卒でIMJに入社されたのはなぜですか?
Oku:就職活動の中で広告代理店を目指していた時期がありました。博報堂のインターンシップにも参加したんですが、なんか違うなという感覚があって。そのタイミングでIMJというデジタルマーケティングに強みを持つ会社と出会い、ご縁があって入社しました。
入社してからは、本当に多様な案件を経験しました。1週間でコンペを出すような突貫作業が毎週続いて、1〜3ヶ月の案件を3〜4個同時並行でこなすような日々でした。大手飲料メーカーや自動車メーカーのデジタルコミュニケーション全般を担当するなど、規模の大きいプロジェクトに数多く携わることができました。 その後アクセンチュアに買収されてからも、なんだかんだ同じような働き方を10年間突き詰めてきた感じです。
Q. 大規模案件ならではの難しさはありましたか?
Oku:やはりプロジェクトの規模が大きくなると、本質的な課題から距離が遠くなりがちです。何百人という単位でプロジェクトに関わる中で、社内政治に紛れながら、どこにも需要がないサービスをつくるみたいなことも正直ありました。何のために仕事しているんだろう、と思う瞬間も多々あって。 そういう経験が、副業を始めるきっかけになりました。
価値はあるのに届かない、その現場に寄り添うために独立した
Q. 本業が忙しい中で副業を始めたのはなぜですか?
Oku:フリーランスへの独立を見据えたロードマップの一環でした。大規模案件では味わえない、コアメンバーとの距離感で仕事をしてみたかったんです。副業で支援していたスタートアップは、価値あるサービスやミッションを持っているのに世間に伝える術がない、デザインの必要性に駆られている人たちでした。そういった方々に寄り添ってデザインをやっていくことに、すごくやりがいを感じた。 それが独立への必然になっていきました。
Q. 独立の決断はいつ頃固まりましたか?
Oku:副業を通じてじわじわと固まっていった感じです。大規模案件で得た経験や対応力は今でも活きていますが、それよりも自分の裁量で世の中へのインパクトを実感できるプロジェクトにシフトしていきたいという気持ちが強くなっていきました。クライアントの代表やコアメンバーと近い距離で、一緒に課題に向き合える仕事をしていきたい。規模は小さくなるかもしれないけど、それでいいと思えた時に、独立を決めました。
共通認識を形にすることが、チームを動かす
形にして投げかけることで、チームの意志が揃っていく
Q. Okuさんがデザイナーとして最も得意とすることは何ですか?
Oku:可視化することだと思っています。プロジェクトにはいろんな価値観やモチベーションを持った人が集まっています。その中で、チームの中にある曖昧な認識や方向性をさっと形にして投げかけると、プロジェクトの意志が揃ったり、新たなアイデアが生まれたりする。そのスピード感と精度が、自分の一番の強みだと思っています。
Q. 形にして投げかけるとは、具体的にどういうことですか?
Oku:突飛なアイデアを出して目立とうとするわけではなくて、チームの中にある意志を引き出して具現化していくイメージです。みんなの頭の中にあるけど言葉にできていないものを、デザインという形で可視化する。 それをチームに投げかけることで、「そうそう、これだ」という共通認識が生まれる。そのフローが好きだし、得意だなと思っています。
大小問わず、期待を超えることがデザイナーの仕事
Q. クライアントとの関わり方で大切にしていることはありますか?
Oku:大小問わず、「そんな手があったか」と思わせることを意識しています。例えば先方が作っているパワポの1ページをちょっと良くするのも提案だし、プロジェクト全体の方向性を変えるような提案もある。デザインの本質は、クライアントの期待を超えていくことだと思っていて、それを大小問わずやり続けることが自分の仕事だと思っています。
Q. クライアントの期待を超えるために、意識していることはありますか?
Oku:基本は目の前にある課題にしっかり答えていくことです。戦略的にというよりは、課題に誠実に向き合った結果、プロジェクトの中心に入り込んでいくことができた、というケースが多いです。可視化することで困っている人全員が、自分のターゲットだと思っています。 webでもUXでも動画でも体験設計でも、目で見えるもの、体で感じられるもの全てにおいて、ご支援したいと思っています。
業界の常識を、体験から問い直した仕事
難しいテーマを、誰もが楽しめる体験に変える
Q. 印象に残っている実績について教えてください。
Oku:カーボンニュートラルへの取り組みをブランドとして立ち上げるプロジェクトに携わりました。エネルギー企業が2022年頃に発表した取り組みで、難しいテーマをいかに一般層に届けるか、というのがメインの課題でした。
最初のアサインは提案書用のUIをつくってくれ、という比較的小さな仕事でした。でも、そこでサービスの可能性を拡げるためにUIの観点でできることをいろいろ提案したところ、それが社内でささって。そこからどんどんプロジェクトの中心に入り込んでいくことができました。
Q. 具体的にどのような体験を設計したのですか?
Oku:コアのコンセプトとして、カーボンニュートラルへの取り組みは無理やりやることじゃなくて、自分の暮らしにフィットする自由な形があっていいんだよ、というメッセージを提案しました。それを表現するために、会員ごとに絶対に被らないビジュアルが生成される会員カードをつくったり、子ども向けのAR体験を実装したり。 デジタルだけでなく、代々木公園のイベントブースのディレクションや展示会の空間設計まで、幅広く担当しました。
チームは6〜7名のコアメンバーで動いていましたが、複数のプロジェクトを同時並行でこなしながら、外部のイベント会社とのやり取りも担っていました。前例が見つけづらい新しい概念を世の中に浸透させるミッションだったので、本当にいろいろ試しながら進んでいきましたね。
回転寿司の"当たり前"を、デジタルで再発明する
Q. もう一つの実績についても教えてください。
Oku:回転寿司のレーンをまるごとデジタル化するプロジェクトです。回転寿司のレーンをまるごとデジタル化するプロジェクトです。フードロスなど従来の回転寿司が抱える課題を体験ごとアップデートしていく大きな取り組みでした。 物理的なレーンをデジタルへ転換し、ソファー席の横一面が画面になってそこにお寿司が流れるような、新しい体験を設計していきました。
タッチして注文できるのはもちろん、ゲームができたり、IPコラボが実現できたり。既存の注文体験をしっかり担保しながら、大きな画面だからこそできる新しいお寿司との出会い方を設計していきました。
Q. このプロジェクトで大変だったことはありますか?
Oku:つくること自体は本当に楽しかったです。ただ、全く前例のないプロダクトだったので、細かい検証がとにかく多かった。実際に着座した時のタッチ可能な範囲や最小フォントサイズの検証など、地道な作業の積み重ねがありました。また、社長案件だったこともあり、役員会でのプレゼンに同席するなど、新しいからこその不安をどう超えていくかという部分も大変でしたね。 ただ、今では事業の柱としてしっかり定着してくれているので、やりきった達成感があります。
AIが変えた、デザイナーとしての働き方
任せられる作業はAIへ。クリエイティブに集中する環境をつくる
Q. 実務の中でAIをどのように活用していますか?
Oku:イラストの展開など、想像がつく範囲の作業はAIに任せるようにしています。キーとなるイラストを1つつくったら、複数種類の展開はAIに生成してもらう。FigmaのAI機能で素案を生成するといった使い方も取り入れています。
フリーランスになってから、クリエイティブだけに集中できていた前職と違い、情報設計やコピーライティングまで自分でやらなければならない場面が増えました。事例の収集やライティングの清書など、AIを使うことで一人でカバーできる範囲が広がっています。
AIで守備範囲を広げ、一人でできることを増やす
Q. AI活用で今後挑戦したいことはありますか?
Oku:プライベートでvibe codingを使ってwebアプリを自作してリリースしてみたりと、コーディング領域にも少しずつ踏み込んでいます。コーディングができるようになるとプロトタイプの精度が上がって、提案力の強化に直結すると思っていて。まだ実務には取り入れられていないんですが、今後やっていきたい一番のポイントです。
デザイナーとしての守備範囲を広げるためにAIを使う、という感覚が強いですね。効率化というより、AIがあるからこそ一人でできることが増えて、クライアントへの提案の幅も広がっていく。 そういう使い方を追求していきたいと思っています。
デザインが、まだ届いていない場所へ
暮らしの中の課題に、デザイン思考で向き合う
Q. 今後挑戦していきたいことを教えてください。
Oku:整理されたLP制作やサイトリニューアルだけじゃなくて、デザインで解決できることをもっと探していきたいという思いがあります。極端な話、例えば私が住んでいる小豆島には回覧板の文化があるんですが、80代の方もいる中でいきなりLINEグループを作りましょうとはならない。でも名簿を見やすくして回覧の時間を短縮する仕組みを考えるとか、小さいことでも、そういう暮らしの中にある課題にデザイン思考で向き合っていけるような役割に就いていきたいんです。
企業やビジネスに閉じず、まだ入り込めていないを持っていない領域にもデザインを届けていきたい。デザインって職人的なクラフトのイメージを持たれることがまだ多いですが、本来は課題解決の手段。 学生時代にデザイン工学部で学んだデザイン思考を、もっといろんな場所で発揮していきたいと思っています。
まとめ
Okuさんにとってデザインとは、あらゆる課題解決の手段です。チームの認識を揃えるために形にして投げかけたり、伝わらない価値を誰かに届けるために可視化したり。そのツールとしてデザインを使いこなすことが、Okuさんの強みです。
大規模案件で培った対応力と柔軟性を持ちながら、フリーランスとして独立した今は、クライアントのコアメンバーと近い距離で本質的な課題に向き合うことを選んでいます。
そしてこれからは、企業やビジネスに閉じず、デザインがまだ届いていない場所へ。暮らしの中にある課題にデザイン思考で向き合っていきたいという思いを持つOkuさんと一緒にプロジェクトに取り組んでみたい方は、ぜひJOOiまでお問い合わせください。
以下のようなお悩みをお持ちの方は、お気軽にご相談ください。
チームの認識がバラバラで、プロジェクトがうまく前に進まない
デザインの上流から一緒に課題に向き合えるパートナーが欲しい
業界や規模を問わず、柔軟に対応できるデザイナーと仕事がしたい
JOOiはハイレベルデザイナーマッチングサービスを運営しています。上記のようなお悩みがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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曖昧をかたちにすることが、プロジェクトを前に進める。Okuさんが語る、デザイナーの本質的な価値
投稿日:
2026/09/02
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大手飲料メーカーや自動車メーカーのデジタルコミュニケーションから、カーボンニュートラルブランドの立ち上げ、回転寿司のUX刷新まで。業界や規模を問わず、多様なプロジェクトに携わってきました。
本記事では、Okuさんのキャリアや実務での進め方、デザインに対する考え方を、インタビューをもとにまとめました。
チームを動かすデザイナーとはどういう存在か。上流からデザインに関わりたい方はもちろん、プロジェクトの推進力を高めたいと考えている事業責任者の方にとっても、参考になる内容です。ぜひ最後までご覧ください。
インタビュー者紹介
Okuさん

プロダクトデザインを志して法政大学デザイン工学部へ進学。卒業後はIMJ(現アクセンチュア)に入社し、大手飲料メーカーや自動車メーカーを含む多様な案件に携わる。10年間の在籍を経て、2025年5月にフリーランスとして独立。現在は小豆島を拠点に、スタートアップから大企業まで幅広くデザイン支援を行っている。
プロダクトから体験へ。10年のキャリアが形作ったもの
大規模案件の現場で得たもの、感じた限界
Q. デザイナーを志したきっかけから教えてください。
Oku:幼少期からプラモデルや工作が好きで、立体物をつくることにずっとワクワクしていました。今も3Dプリンターで何かつくったりするんですが、その延長でプロダクトデザインを志すようになりました。法政大学のデザイン工学部に進んだのも、ものづくりとデザイン思考を掛け合わせた領域に惹かれたからです。
ただ、入学してみると時代の変化を肌で感じました。プロダクトデザインの業界に進む同期がほとんどいなくて、みんな大手のインターネット企業やメディア企業に向かっていった。私の世代はちょうどその過渡期だったんだと思います。
Q. 新卒でIMJに入社されたのはなぜですか?
Oku:就職活動の中で広告代理店を目指していた時期がありました。博報堂のインターンシップにも参加したんですが、なんか違うなという感覚があって。そのタイミングでIMJというデジタルマーケティングに強みを持つ会社と出会い、ご縁があって入社しました。
入社してからは、本当に多様な案件を経験しました。1週間でコンペを出すような突貫作業が毎週続いて、1〜3ヶ月の案件を3〜4個同時並行でこなすような日々でした。大手飲料メーカーや自動車メーカーのデジタルコミュニケーション全般を担当するなど、規模の大きいプロジェクトに数多く携わることができました。 その後アクセンチュアに買収されてからも、なんだかんだ同じような働き方を10年間突き詰めてきた感じです。
Q. 大規模案件ならではの難しさはありましたか?
Oku:やはりプロジェクトの規模が大きくなると、本質的な課題から距離が遠くなりがちです。何百人という単位でプロジェクトに関わる中で、社内政治に紛れながら、どこにも需要がないサービスをつくるみたいなことも正直ありました。何のために仕事しているんだろう、と思う瞬間も多々あって。 そういう経験が、副業を始めるきっかけになりました。
価値はあるのに届かない、その現場に寄り添うために独立した
Q. 本業が忙しい中で副業を始めたのはなぜですか?
Oku:フリーランスへの独立を見据えたロードマップの一環でした。大規模案件では味わえない、コアメンバーとの距離感で仕事をしてみたかったんです。副業で支援していたスタートアップは、価値あるサービスやミッションを持っているのに世間に伝える術がない、デザインの必要性に駆られている人たちでした。そういった方々に寄り添ってデザインをやっていくことに、すごくやりがいを感じた。 それが独立への必然になっていきました。
Q. 独立の決断はいつ頃固まりましたか?
Oku:副業を通じてじわじわと固まっていった感じです。大規模案件で得た経験や対応力は今でも活きていますが、それよりも自分の裁量で世の中へのインパクトを実感できるプロジェクトにシフトしていきたいという気持ちが強くなっていきました。クライアントの代表やコアメンバーと近い距離で、一緒に課題に向き合える仕事をしていきたい。規模は小さくなるかもしれないけど、それでいいと思えた時に、独立を決めました。
共通認識を形にすることが、チームを動かす
形にして投げかけることで、チームの意志が揃っていく
Q. Okuさんがデザイナーとして最も得意とすることは何ですか?
Oku:可視化することだと思っています。プロジェクトにはいろんな価値観やモチベーションを持った人が集まっています。その中で、チームの中にある曖昧な認識や方向性をさっと形にして投げかけると、プロジェクトの意志が揃ったり、新たなアイデアが生まれたりする。そのスピード感と精度が、自分の一番の強みだと思っています。
Q. 形にして投げかけるとは、具体的にどういうことですか?
Oku:突飛なアイデアを出して目立とうとするわけではなくて、チームの中にある意志を引き出して具現化していくイメージです。みんなの頭の中にあるけど言葉にできていないものを、デザインという形で可視化する。 それをチームに投げかけることで、「そうそう、これだ」という共通認識が生まれる。そのフローが好きだし、得意だなと思っています。
大小問わず、期待を超えることがデザイナーの仕事
Q. クライアントとの関わり方で大切にしていることはありますか?
Oku:大小問わず、「そんな手があったか」と思わせることを意識しています。例えば先方が作っているパワポの1ページをちょっと良くするのも提案だし、プロジェクト全体の方向性を変えるような提案もある。デザインの本質は、クライアントの期待を超えていくことだと思っていて、それを大小問わずやり続けることが自分の仕事だと思っています。
Q. クライアントの期待を超えるために、意識していることはありますか?
Oku:基本は目の前にある課題にしっかり答えていくことです。戦略的にというよりは、課題に誠実に向き合った結果、プロジェクトの中心に入り込んでいくことができた、というケースが多いです。可視化することで困っている人全員が、自分のターゲットだと思っています。 webでもUXでも動画でも体験設計でも、目で見えるもの、体で感じられるもの全てにおいて、ご支援したいと思っています。
業界の常識を、体験から問い直した仕事
難しいテーマを、誰もが楽しめる体験に変える
Q. 印象に残っている実績について教えてください。
Oku:カーボンニュートラルへの取り組みをブランドとして立ち上げるプロジェクトに携わりました。エネルギー企業が2022年頃に発表した取り組みで、難しいテーマをいかに一般層に届けるか、というのがメインの課題でした。
最初のアサインは提案書用のUIをつくってくれ、という比較的小さな仕事でした。でも、そこでサービスの可能性を拡げるためにUIの観点でできることをいろいろ提案したところ、それが社内でささって。そこからどんどんプロジェクトの中心に入り込んでいくことができました。
Q. 具体的にどのような体験を設計したのですか?
Oku:コアのコンセプトとして、カーボンニュートラルへの取り組みは無理やりやることじゃなくて、自分の暮らしにフィットする自由な形があっていいんだよ、というメッセージを提案しました。それを表現するために、会員ごとに絶対に被らないビジュアルが生成される会員カードをつくったり、子ども向けのAR体験を実装したり。 デジタルだけでなく、代々木公園のイベントブースのディレクションや展示会の空間設計まで、幅広く担当しました。
チームは6〜7名のコアメンバーで動いていましたが、複数のプロジェクトを同時並行でこなしながら、外部のイベント会社とのやり取りも担っていました。前例が見つけづらい新しい概念を世の中に浸透させるミッションだったので、本当にいろいろ試しながら進んでいきましたね。
回転寿司の"当たり前"を、デジタルで再発明する
Q. もう一つの実績についても教えてください。
Oku:回転寿司のレーンをまるごとデジタル化するプロジェクトです。回転寿司のレーンをまるごとデジタル化するプロジェクトです。フードロスなど従来の回転寿司が抱える課題を体験ごとアップデートしていく大きな取り組みでした。 物理的なレーンをデジタルへ転換し、ソファー席の横一面が画面になってそこにお寿司が流れるような、新しい体験を設計していきました。
タッチして注文できるのはもちろん、ゲームができたり、IPコラボが実現できたり。既存の注文体験をしっかり担保しながら、大きな画面だからこそできる新しいお寿司との出会い方を設計していきました。
Q. このプロジェクトで大変だったことはありますか?
Oku:つくること自体は本当に楽しかったです。ただ、全く前例のないプロダクトだったので、細かい検証がとにかく多かった。実際に着座した時のタッチ可能な範囲や最小フォントサイズの検証など、地道な作業の積み重ねがありました。また、社長案件だったこともあり、役員会でのプレゼンに同席するなど、新しいからこその不安をどう超えていくかという部分も大変でしたね。 ただ、今では事業の柱としてしっかり定着してくれているので、やりきった達成感があります。
AIが変えた、デザイナーとしての働き方
任せられる作業はAIへ。クリエイティブに集中する環境をつくる
Q. 実務の中でAIをどのように活用していますか?
Oku:イラストの展開など、想像がつく範囲の作業はAIに任せるようにしています。キーとなるイラストを1つつくったら、複数種類の展開はAIに生成してもらう。FigmaのAI機能で素案を生成するといった使い方も取り入れています。
フリーランスになってから、クリエイティブだけに集中できていた前職と違い、情報設計やコピーライティングまで自分でやらなければならない場面が増えました。事例の収集やライティングの清書など、AIを使うことで一人でカバーできる範囲が広がっています。
AIで守備範囲を広げ、一人でできることを増やす
Q. AI活用で今後挑戦したいことはありますか?
Oku:プライベートでvibe codingを使ってwebアプリを自作してリリースしてみたりと、コーディング領域にも少しずつ踏み込んでいます。コーディングができるようになるとプロトタイプの精度が上がって、提案力の強化に直結すると思っていて。まだ実務には取り入れられていないんですが、今後やっていきたい一番のポイントです。
デザイナーとしての守備範囲を広げるためにAIを使う、という感覚が強いですね。効率化というより、AIがあるからこそ一人でできることが増えて、クライアントへの提案の幅も広がっていく。 そういう使い方を追求していきたいと思っています。
デザインが、まだ届いていない場所へ
暮らしの中の課題に、デザイン思考で向き合う
Q. 今後挑戦していきたいことを教えてください。
Oku:整理されたLP制作やサイトリニューアルだけじゃなくて、デザインで解決できることをもっと探していきたいという思いがあります。極端な話、例えば私が住んでいる小豆島には回覧板の文化があるんですが、80代の方もいる中でいきなりLINEグループを作りましょうとはならない。でも名簿を見やすくして回覧の時間を短縮する仕組みを考えるとか、小さいことでも、そういう暮らしの中にある課題にデザイン思考で向き合っていけるような役割に就いていきたいんです。
企業やビジネスに閉じず、まだ入り込めていないを持っていない領域にもデザインを届けていきたい。デザインって職人的なクラフトのイメージを持たれることがまだ多いですが、本来は課題解決の手段。 学生時代にデザイン工学部で学んだデザイン思考を、もっといろんな場所で発揮していきたいと思っています。
まとめ
Okuさんにとってデザインとは、あらゆる課題解決の手段です。チームの認識を揃えるために形にして投げかけたり、伝わらない価値を誰かに届けるために可視化したり。そのツールとしてデザインを使いこなすことが、Okuさんの強みです。
大規模案件で培った対応力と柔軟性を持ちながら、フリーランスとして独立した今は、クライアントのコアメンバーと近い距離で本質的な課題に向き合うことを選んでいます。
そしてこれからは、企業やビジネスに閉じず、デザインがまだ届いていない場所へ。暮らしの中にある課題にデザイン思考で向き合っていきたいという思いを持つOkuさんと一緒にプロジェクトに取り組んでみたい方は、ぜひJOOiまでお問い合わせください。
以下のようなお悩みをお持ちの方は、お気軽にご相談ください。
チームの認識がバラバラで、プロジェクトがうまく前に進まない
デザインの上流から一緒に課題に向き合えるパートナーが欲しい
業界や規模を問わず、柔軟に対応できるデザイナーと仕事がしたい
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