JOOiトップデザイナーへインタビューしてみました!【渡辺さん】

ブランディングデザイナー

ブランディングの本質とは?プロのブランドデザイナーが語るインナーブランディングの進め方

投稿日:

2026/04/13

今回ご紹介するのは、ブランディングを軸に一貫して企業支援を行ってきたKamegaiさんです。

企業が発信したいメッセージを言語化し、組織の中で機能する状態へ落とし込む。そして、理念や戦略を「掲げるもの」ではなく「日々の意思決定の軸となるもの」として設計するブランディング支援のプロフェッショナルでもあります。

本記事では、Kamegaiさんのキャリアや実務での進め方、ブランディングに対する考え方を、インタビューをもとにまとめました。

組織づくりや事業変革に取り組む経営者・事業責任者の方はもちろん、ブランディングやデザインの上流から関わりたいデザイナーにとっても、参考になる内容です。

ぜひ最後までご覧ください。

インタビュー者紹介

Kamegaiさん

20代の全てをアメリカで過ごし、現地でデザイナーとしてキャリアを積む。自分のキャリアを考えて30歳になるタイミングで日本に帰国。現在は大手企業〜スタートアップ企業においてブランディング関連での支援が増えており、必要に応じてロゴなど外向きのアウトプットまで一気通貫で対応。

キャリアの原点。アメリカで叩き込まれたもの

20代の全てをアメリカで過ごしデザイナーとしてのキャリアをスタート

Q. アメリカでのキャリアから日本へ戻る決断は、どんな背景があったのでしょうか?

Kamegai:精神的な部分も叩き込まれましたね。20代の全部をアメリカで過ごしていたので、30になる時に「日本に帰る」のは直感的に面白そうだなと思って、帰国を決めました。

デザインは「車」。メッセージを運ぶ責任を伴う

まずやるべきは「メッセージをクリアにする」

Q. お話しを聞く中で「デザインは車」という考え方が印象的でした。具体的にはどういう意味ですか?

Kamegai:色々深ぼっていくうちにデザインは企業のほとんど全てであるなと感じました。そして多くの企業ではメッセージがクリアになっていない実態も徐々にわかってきました。だからこそ、デザイナーがメッセージをクリアにしてあげる必要があると思っています。とにかく企業のメッセージをデザインという「車」に乗せて、お客様に届けるという風にデザインを捉えることが重要とアメリカ時代にデザインの師匠から再三言われてきました。企業は代弁できないので、まずクライアントである企業を様々な視点からきちんと見て、理解した上で彼らが発信したいメッセージは何か考える。そこにデザイナーとしての重要な責務があると感じています。

メッセージが曖昧なままだと、判断が揃わず失敗しやすくなる

Q. メッセージがクリアじゃないまま進むと、現場では何が起きやすいですか?

Kamegai:まず判断の認識が合わずにプロジェクトが途中で空中分解することがあります。アメリカで支援していたプロジェクトでは、そういったことがあるとクライアント側の担当者がものすごく責められるケースがありました。 そして捉え方によっては指示が良くなかったということになり、解雇へとつながる場合もあります。結局そのゴチャゴチャはデザインのプロセスに反映されて、もっと大きなところは流通に反映されて、消費者やBtoBであれば取引先の企業が価値を見出してくれなくなってしまいます。デザインとして車に乗せるメッセージを洗練し、車を誤解ないように伝わるよう実装する。そこには重大な責任があると思います。

インナーブランディングは社員の行動と言葉を揃えるインフラ

メッセージをクリアにするには、社内の整理が先に来る

Q. 「メッセージをクリアにする」ために、実務ではどこから着手することが多いですか?

Kamegai:内側でやらなきゃいけない理念とかビジネス戦略、また外向けのコンシューマーブランディングとコーポレートブランディングを両サイドに置いた時に、間は何になるか?考えた結果「インナーブランディング」になると理解しました。

理念は「知っている」だけでは足りない

Q. インナーブランディングは、どんな状態を目指すものだと捉えていますか?

Kamegai:社員が自社の理念に対して少なくとも賛同していて、かつ認知しているだけでなく「そうだね、それ実際にやっていこう」と社員間で会話が生まれるくらいまでやってくれないと理念を作る意味がないし機能していないと思っています。インナーブランディングは橋渡し、ブリッジになるし、企業の活動において要だと思っています。

企業の「中身」を言葉にできると、社外に出すメッセージが強くなる

Q. インナーブランディングが社外に対してどういう効果があるのか、もう少し聞かせてください。

Kamegai:社内外全てにおいて関わっている人全てにポジティブな効果があると思っています。

そのために企業の中身やコンセプトは何であり、それを作ってる人たちはどんな想いで作っているのか、というコアな部分ができるだけ共通認識を持ち言語化するべきだと考えています。その方が、デザインもスムーズで一貫性のあるものとなり、セールスや流通等も生産的になり、関わっている人全てに苦労が報われる感覚があると思っています。

インナーブランディングは精神論ではなく、仕組みとして設計する

複数のカテゴリーで整理し、ロードマップを設計する

Q. 社員が同じ方向を向くために、経営者が「同じ方向を向こう」と言うだけでは精神論になりがちだと思います。そこはどう考えていますか?

Kamegai:この手の施策は、多くの企業で精神論っぽくまとめられ発信されている企業も多いと感じています。ただそれだと企業規模が大きくなるにつれて全然役に立たないと思っています。もちろんリーダーが繰り返し語るのは大前提。でも精神論であってはならず、仕組みというかインフラがあると個人的には思っています。まず企業の状況に合わせていくつかのカテゴリーに分け、それぞれに対して「どの順番でどう設計するか」を緻密に考え設計します。

社員の主体的な行動が増える仕組みの作り方

Q. インナーブランディングに関する施策をやっただけで浸透しない状態を避けるには何が必要ですか?

Kamegai:まず最初に「誰のために作るのか」は改めて定義しておきたいですよね。社内でもどの部署の人たちか、など。社員の中でも調和型・安定型の社員は、新しい施策や改革に対して受け入れやすいけど、体現することに躊躇する。反対してるわけじゃなくて、どうしていいかわかんないという反応が多いです。そしてつまずくのは、主体的に行動する社員を増やせないことです。

社員は承認を求めてるケースも多いので、行動するには仕組みと評価が必要だと思っています。例えば稟議書ってありますよね。そこに項目つければいい。

このプロジェクトは企業理念やビジネス戦略とどう紐付いてるのかって。書くということが大事で、書いたら上司が評価しなきゃいけないはずです。AIでそれっぽく書けてしまいますが、書いたら評価し、評価する際は必ず会話が増えるので、まずは企業理念やビジネス戦略に関して、上司と部下で対話を増やすことが大事だと思っています。

会話が一つでも増えれば、改善に向けた一歩目を体現してることになると思っています。


実績について

買収後の独立を見据えた支援:理念・スローガン・社内の束ね方まで

Q. 企業名は出さずに、輪郭としてどんな支援をしたか伺ってもよろしいでしょうか?

Kamegai:シニア向け携帯端末を手がける企業を支援した実績があります。より会社として基盤を強く作っていくためにまずは企業理念から作っていきましょうという話しになりました。より基盤を強くしていくためにはブランドスローガンというメッセージが必要になってくると企業の幹部と話す中で辿り着きました。また社内をどう束ねていくのか、という部分もある程度見通しが必要となったので、内向きの仕事もしつつ、同時にロゴやサイトなど表に出てくるデザインもお手伝いした事例となっています。

地方BtoBメーカーの変革支援:新しいメッセージで組織を動かす

Q. 工業系のBtoB支援についても、印象的でした。こちらも伺わせてください。

Kamegai:ポンプを修理・整備する会社です。ポンプはビルの背後とか屋上とか、工場の隅とかにあって、普通に暮らしている人であれば一生見ることはないと思っています。でもポンプありきで動いている装置・機械等は多いです。支援した企業の詳細としては社員数150名程度の地方メーカーの企業だったのですが、まず業界全体の課題として緩慢で新しいことが起きてない空気があるという話しになりました。そういった背景も踏まえて企業のメッセージを作り直し、改めて「始まりを作る人」を掲げた。受注型のものづくりって「言われたことやります」になりやすい。でも難易度の高いこと言ってくるお客さんこそ本当のお客さんだと思っています。そこに答えると技術力を上げるチャンスになる。一緒に始まりを作る、イノベーションしていく、というマインドを感じてほしかった。ラベル、カタログ、サイトも直す。ただ、その手前に「始まりを作る」を言葉として紡ぐ。文字にする。社員が日々の仕事に生かす。そこまでできれば、会社は動くと思います。


清水修正版

Q. 工業系のBtoB支援についても、印象的でした。こちらも伺わせてください。

Kamegai:ポンプを修理・整備する会社の支援をしました。ポンプって、ビルの裏や屋上、工場の隅にあることが多く、普通に暮らしている人はほとんど目にしないと思います。でも実際は、ポンプがないと動かない機械や設備がたくさんあります。

支援した企業は、社員数が150名くらいの地方のメーカーでした。

まず前提として、その業界全体に「動きが遅くて、新しいことが起きにくい空気がある」という課題がありました。

そこで、会社が何を大事にして、どんな価値を出していくのかを改めて言葉にし直して、メッセージとして「始まりを作る人」を掲げました。

ここでの「始まりを作る人」とは、単に言われた通りに作る会社ではなく、難易度の高い依頼にも向き合いながら技術を磨き、顧客と一緒に新しい価値の出発点をつくっていく、という姿勢を短い言葉にまとめたメッセージです。


受注型のものづくりって「言われたことをやる受動的な姿勢になりやすい。難易度の高いことを言ってくるお客さんこそ、本当のお客さんだと思っています。 そこに答えられるようになると技術力を上げるチャンスになるし、一緒に新しいことを作っていける。

また、社外向けのデザインはラベルやカタログ、サイトも直しました。 ただ、その前に「始まりを作る」という考え方を言葉にして、文字にして、社員が日々の仕事で使える状態にする。そこが肝で、そこまで対応することで会社はうまく動くと思います。

まとめ

ブランディングは見た目を整えることではなく、まず企業が発信したいメッセージをクリアにすることから始まるという点でした。 メッセージが曖昧なまま進むと、現場の判断が揃わず、結果として価値が届かなくなるリスクが高まります。

そのうえで重要になるのが、理念や戦略と外向けの発信の間にあるインナーブランディングです。社員が理念を知っているだけではなく、日々の意思決定や行動に落ちる状態を作る。 精神論ではなく、社内ターゲットの捉え方や承認プロセスに組み込むなど、仕組みとして設計することが組織を動かす鍵になるという話でした。

  • 自社のメッセージが曖昧でブランディングの方向性が定まらない

  • 理念や戦略が現場の行動につながらない

  • 社内外の発信が噛み合わず価値が伝わり切っていない

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企業が発信したいメッセージを言語化し、組織の中で機能する状態へ落とし込む。そして、理念や戦略を「掲げるもの」ではなく「日々の意思決定の軸となるもの」として設計するブランディング支援のプロフェッショナルでもあります。

本記事では、Kamegaiさんのキャリアや実務での進め方、ブランディングに対する考え方を、インタビューをもとにまとめました。

組織づくりや事業変革に取り組む経営者・事業責任者の方はもちろん、ブランディングやデザインの上流から関わりたいデザイナーにとっても、参考になる内容です。

ぜひ最後までご覧ください。

インタビュー者紹介

Kamegaiさん

20代の全てをアメリカで過ごし、現地でデザイナーとしてキャリアを積む。自分のキャリアを考えて30歳になるタイミングで日本に帰国。現在は大手企業〜スタートアップ企業においてブランディング関連での支援が増えており、必要に応じてロゴなど外向きのアウトプットまで一気通貫で対応。

キャリアの原点。アメリカで叩き込まれたもの

20代の全てをアメリカで過ごしデザイナーとしてのキャリアをスタート

Q. アメリカでのキャリアから日本へ戻る決断は、どんな背景があったのでしょうか?

Kamegai:精神的な部分も叩き込まれましたね。20代の全部をアメリカで過ごしていたので、30になる時に「日本に帰る」のは直感的に面白そうだなと思って、帰国を決めました。

デザインは「車」。メッセージを運ぶ責任を伴う

まずやるべきは「メッセージをクリアにする」

Q. お話しを聞く中で「デザインは車」という考え方が印象的でした。具体的にはどういう意味ですか?

Kamegai:色々深ぼっていくうちにデザインは企業のほとんど全てであるなと感じました。そして多くの企業ではメッセージがクリアになっていない実態も徐々にわかってきました。だからこそ、デザイナーがメッセージをクリアにしてあげる必要があると思っています。とにかく企業のメッセージをデザインという「車」に乗せて、お客様に届けるという風にデザインを捉えることが重要とアメリカ時代にデザインの師匠から再三言われてきました。企業は代弁できないので、まずクライアントである企業を様々な視点からきちんと見て、理解した上で彼らが発信したいメッセージは何か考える。そこにデザイナーとしての重要な責務があると感じています。

メッセージが曖昧なままだと、判断が揃わず失敗しやすくなる

Q. メッセージがクリアじゃないまま進むと、現場では何が起きやすいですか?

Kamegai:まず判断の認識が合わずにプロジェクトが途中で空中分解することがあります。アメリカで支援していたプロジェクトでは、そういったことがあるとクライアント側の担当者がものすごく責められるケースがありました。 そして捉え方によっては指示が良くなかったということになり、解雇へとつながる場合もあります。結局そのゴチャゴチャはデザインのプロセスに反映されて、もっと大きなところは流通に反映されて、消費者やBtoBであれば取引先の企業が価値を見出してくれなくなってしまいます。デザインとして車に乗せるメッセージを洗練し、車を誤解ないように伝わるよう実装する。そこには重大な責任があると思います。

インナーブランディングは社員の行動と言葉を揃えるインフラ

メッセージをクリアにするには、社内の整理が先に来る

Q. 「メッセージをクリアにする」ために、実務ではどこから着手することが多いですか?

Kamegai:内側でやらなきゃいけない理念とかビジネス戦略、また外向けのコンシューマーブランディングとコーポレートブランディングを両サイドに置いた時に、間は何になるか?考えた結果「インナーブランディング」になると理解しました。

理念は「知っている」だけでは足りない

Q. インナーブランディングは、どんな状態を目指すものだと捉えていますか?

Kamegai:社員が自社の理念に対して少なくとも賛同していて、かつ認知しているだけでなく「そうだね、それ実際にやっていこう」と社員間で会話が生まれるくらいまでやってくれないと理念を作る意味がないし機能していないと思っています。インナーブランディングは橋渡し、ブリッジになるし、企業の活動において要だと思っています。

企業の「中身」を言葉にできると、社外に出すメッセージが強くなる

Q. インナーブランディングが社外に対してどういう効果があるのか、もう少し聞かせてください。

Kamegai:社内外全てにおいて関わっている人全てにポジティブな効果があると思っています。

そのために企業の中身やコンセプトは何であり、それを作ってる人たちはどんな想いで作っているのか、というコアな部分ができるだけ共通認識を持ち言語化するべきだと考えています。その方が、デザインもスムーズで一貫性のあるものとなり、セールスや流通等も生産的になり、関わっている人全てに苦労が報われる感覚があると思っています。

インナーブランディングは精神論ではなく、仕組みとして設計する

複数のカテゴリーで整理し、ロードマップを設計する

Q. 社員が同じ方向を向くために、経営者が「同じ方向を向こう」と言うだけでは精神論になりがちだと思います。そこはどう考えていますか?

Kamegai:この手の施策は、多くの企業で精神論っぽくまとめられ発信されている企業も多いと感じています。ただそれだと企業規模が大きくなるにつれて全然役に立たないと思っています。もちろんリーダーが繰り返し語るのは大前提。でも精神論であってはならず、仕組みというかインフラがあると個人的には思っています。まず企業の状況に合わせていくつかのカテゴリーに分け、それぞれに対して「どの順番でどう設計するか」を緻密に考え設計します。

社員の主体的な行動が増える仕組みの作り方

Q. インナーブランディングに関する施策をやっただけで浸透しない状態を避けるには何が必要ですか?

Kamegai:まず最初に「誰のために作るのか」は改めて定義しておきたいですよね。社内でもどの部署の人たちか、など。社員の中でも調和型・安定型の社員は、新しい施策や改革に対して受け入れやすいけど、体現することに躊躇する。反対してるわけじゃなくて、どうしていいかわかんないという反応が多いです。そしてつまずくのは、主体的に行動する社員を増やせないことです。

社員は承認を求めてるケースも多いので、行動するには仕組みと評価が必要だと思っています。例えば稟議書ってありますよね。そこに項目つければいい。

このプロジェクトは企業理念やビジネス戦略とどう紐付いてるのかって。書くということが大事で、書いたら上司が評価しなきゃいけないはずです。AIでそれっぽく書けてしまいますが、書いたら評価し、評価する際は必ず会話が増えるので、まずは企業理念やビジネス戦略に関して、上司と部下で対話を増やすことが大事だと思っています。

会話が一つでも増えれば、改善に向けた一歩目を体現してることになると思っています。


実績について

買収後の独立を見据えた支援:理念・スローガン・社内の束ね方まで

Q. 企業名は出さずに、輪郭としてどんな支援をしたか伺ってもよろしいでしょうか?

Kamegai:シニア向け携帯端末を手がける企業を支援した実績があります。より会社として基盤を強く作っていくためにまずは企業理念から作っていきましょうという話しになりました。より基盤を強くしていくためにはブランドスローガンというメッセージが必要になってくると企業の幹部と話す中で辿り着きました。また社内をどう束ねていくのか、という部分もある程度見通しが必要となったので、内向きの仕事もしつつ、同時にロゴやサイトなど表に出てくるデザインもお手伝いした事例となっています。

地方BtoBメーカーの変革支援:新しいメッセージで組織を動かす

Q. 工業系のBtoB支援についても、印象的でした。こちらも伺わせてください。

Kamegai:ポンプを修理・整備する会社です。ポンプはビルの背後とか屋上とか、工場の隅とかにあって、普通に暮らしている人であれば一生見ることはないと思っています。でもポンプありきで動いている装置・機械等は多いです。支援した企業の詳細としては社員数150名程度の地方メーカーの企業だったのですが、まず業界全体の課題として緩慢で新しいことが起きてない空気があるという話しになりました。そういった背景も踏まえて企業のメッセージを作り直し、改めて「始まりを作る人」を掲げた。受注型のものづくりって「言われたことやります」になりやすい。でも難易度の高いこと言ってくるお客さんこそ本当のお客さんだと思っています。そこに答えると技術力を上げるチャンスになる。一緒に始まりを作る、イノベーションしていく、というマインドを感じてほしかった。ラベル、カタログ、サイトも直す。ただ、その手前に「始まりを作る」を言葉として紡ぐ。文字にする。社員が日々の仕事に生かす。そこまでできれば、会社は動くと思います。


清水修正版

Q. 工業系のBtoB支援についても、印象的でした。こちらも伺わせてください。

Kamegai:ポンプを修理・整備する会社の支援をしました。ポンプって、ビルの裏や屋上、工場の隅にあることが多く、普通に暮らしている人はほとんど目にしないと思います。でも実際は、ポンプがないと動かない機械や設備がたくさんあります。

支援した企業は、社員数が150名くらいの地方のメーカーでした。

まず前提として、その業界全体に「動きが遅くて、新しいことが起きにくい空気がある」という課題がありました。

そこで、会社が何を大事にして、どんな価値を出していくのかを改めて言葉にし直して、メッセージとして「始まりを作る人」を掲げました。

ここでの「始まりを作る人」とは、単に言われた通りに作る会社ではなく、難易度の高い依頼にも向き合いながら技術を磨き、顧客と一緒に新しい価値の出発点をつくっていく、という姿勢を短い言葉にまとめたメッセージです。


受注型のものづくりって「言われたことをやる受動的な姿勢になりやすい。難易度の高いことを言ってくるお客さんこそ、本当のお客さんだと思っています。 そこに答えられるようになると技術力を上げるチャンスになるし、一緒に新しいことを作っていける。

また、社外向けのデザインはラベルやカタログ、サイトも直しました。 ただ、その前に「始まりを作る」という考え方を言葉にして、文字にして、社員が日々の仕事で使える状態にする。そこが肝で、そこまで対応することで会社はうまく動くと思います。

まとめ

ブランディングは見た目を整えることではなく、まず企業が発信したいメッセージをクリアにすることから始まるという点でした。 メッセージが曖昧なまま進むと、現場の判断が揃わず、結果として価値が届かなくなるリスクが高まります。

そのうえで重要になるのが、理念や戦略と外向けの発信の間にあるインナーブランディングです。社員が理念を知っているだけではなく、日々の意思決定や行動に落ちる状態を作る。 精神論ではなく、社内ターゲットの捉え方や承認プロセスに組み込むなど、仕組みとして設計することが組織を動かす鍵になるという話でした。

  • 自社のメッセージが曖昧でブランディングの方向性が定まらない

  • 理念や戦略が現場の行動につながらない

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今回ご紹介するのは、ブランディングを軸に一貫して企業支援を行ってきたKamegaiさんです。

企業が発信したいメッセージを言語化し、組織の中で機能する状態へ落とし込む。そして、理念や戦略を「掲げるもの」ではなく「日々の意思決定の軸となるもの」として設計するブランディング支援のプロフェッショナルでもあります。

本記事では、Kamegaiさんのキャリアや実務での進め方、ブランディングに対する考え方を、インタビューをもとにまとめました。

組織づくりや事業変革に取り組む経営者・事業責任者の方はもちろん、ブランディングやデザインの上流から関わりたいデザイナーにとっても、参考になる内容です。

ぜひ最後までご覧ください。

インタビュー者紹介

Kamegaiさん

20代の全てをアメリカで過ごし、現地でデザイナーとしてキャリアを積む。自分のキャリアを考えて30歳になるタイミングで日本に帰国。現在は大手企業〜スタートアップ企業においてブランディング関連での支援が増えており、必要に応じてロゴなど外向きのアウトプットまで一気通貫で対応。

キャリアの原点。アメリカで叩き込まれたもの

20代の全てをアメリカで過ごしデザイナーとしてのキャリアをスタート

Q. アメリカでのキャリアから日本へ戻る決断は、どんな背景があったのでしょうか?

Kamegai:精神的な部分も叩き込まれましたね。20代の全部をアメリカで過ごしていたので、30になる時に「日本に帰る」のは直感的に面白そうだなと思って、帰国を決めました。

デザインは「車」。メッセージを運ぶ責任を伴う

まずやるべきは「メッセージをクリアにする」

Q. お話しを聞く中で「デザインは車」という考え方が印象的でした。具体的にはどういう意味ですか?

Kamegai:色々深ぼっていくうちにデザインは企業のほとんど全てであるなと感じました。そして多くの企業ではメッセージがクリアになっていない実態も徐々にわかってきました。だからこそ、デザイナーがメッセージをクリアにしてあげる必要があると思っています。とにかく企業のメッセージをデザインという「車」に乗せて、お客様に届けるという風にデザインを捉えることが重要とアメリカ時代にデザインの師匠から再三言われてきました。企業は代弁できないので、まずクライアントである企業を様々な視点からきちんと見て、理解した上で彼らが発信したいメッセージは何か考える。そこにデザイナーとしての重要な責務があると感じています。

メッセージが曖昧なままだと、判断が揃わず失敗しやすくなる

Q. メッセージがクリアじゃないまま進むと、現場では何が起きやすいですか?

Kamegai:まず判断の認識が合わずにプロジェクトが途中で空中分解することがあります。アメリカで支援していたプロジェクトでは、そういったことがあるとクライアント側の担当者がものすごく責められるケースがありました。 そして捉え方によっては指示が良くなかったということになり、解雇へとつながる場合もあります。結局そのゴチャゴチャはデザインのプロセスに反映されて、もっと大きなところは流通に反映されて、消費者やBtoBであれば取引先の企業が価値を見出してくれなくなってしまいます。デザインとして車に乗せるメッセージを洗練し、車を誤解ないように伝わるよう実装する。そこには重大な責任があると思います。

インナーブランディングは社員の行動と言葉を揃えるインフラ

メッセージをクリアにするには、社内の整理が先に来る

Q. 「メッセージをクリアにする」ために、実務ではどこから着手することが多いですか?

Kamegai:内側でやらなきゃいけない理念とかビジネス戦略、また外向けのコンシューマーブランディングとコーポレートブランディングを両サイドに置いた時に、間は何になるか?考えた結果「インナーブランディング」になると理解しました。

理念は「知っている」だけでは足りない

Q. インナーブランディングは、どんな状態を目指すものだと捉えていますか?

Kamegai:社員が自社の理念に対して少なくとも賛同していて、かつ認知しているだけでなく「そうだね、それ実際にやっていこう」と社員間で会話が生まれるくらいまでやってくれないと理念を作る意味がないし機能していないと思っています。インナーブランディングは橋渡し、ブリッジになるし、企業の活動において要だと思っています。

企業の「中身」を言葉にできると、社外に出すメッセージが強くなる

Q. インナーブランディングが社外に対してどういう効果があるのか、もう少し聞かせてください。

Kamegai:社内外全てにおいて関わっている人全てにポジティブな効果があると思っています。

そのために企業の中身やコンセプトは何であり、それを作ってる人たちはどんな想いで作っているのか、というコアな部分ができるだけ共通認識を持ち言語化するべきだと考えています。その方が、デザインもスムーズで一貫性のあるものとなり、セールスや流通等も生産的になり、関わっている人全てに苦労が報われる感覚があると思っています。

インナーブランディングは精神論ではなく、仕組みとして設計する

複数のカテゴリーで整理し、ロードマップを設計する

Q. 社員が同じ方向を向くために、経営者が「同じ方向を向こう」と言うだけでは精神論になりがちだと思います。そこはどう考えていますか?

Kamegai:この手の施策は、多くの企業で精神論っぽくまとめられ発信されている企業も多いと感じています。ただそれだと企業規模が大きくなるにつれて全然役に立たないと思っています。もちろんリーダーが繰り返し語るのは大前提。でも精神論であってはならず、仕組みというかインフラがあると個人的には思っています。まず企業の状況に合わせていくつかのカテゴリーに分け、それぞれに対して「どの順番でどう設計するか」を緻密に考え設計します。

社員の主体的な行動が増える仕組みの作り方

Q. インナーブランディングに関する施策をやっただけで浸透しない状態を避けるには何が必要ですか?

Kamegai:まず最初に「誰のために作るのか」は改めて定義しておきたいですよね。社内でもどの部署の人たちか、など。社員の中でも調和型・安定型の社員は、新しい施策や改革に対して受け入れやすいけど、体現することに躊躇する。反対してるわけじゃなくて、どうしていいかわかんないという反応が多いです。そしてつまずくのは、主体的に行動する社員を増やせないことです。

社員は承認を求めてるケースも多いので、行動するには仕組みと評価が必要だと思っています。例えば稟議書ってありますよね。そこに項目つければいい。

このプロジェクトは企業理念やビジネス戦略とどう紐付いてるのかって。書くということが大事で、書いたら上司が評価しなきゃいけないはずです。AIでそれっぽく書けてしまいますが、書いたら評価し、評価する際は必ず会話が増えるので、まずは企業理念やビジネス戦略に関して、上司と部下で対話を増やすことが大事だと思っています。

会話が一つでも増えれば、改善に向けた一歩目を体現してることになると思っています。


実績について

買収後の独立を見据えた支援:理念・スローガン・社内の束ね方まで

Q. 企業名は出さずに、輪郭としてどんな支援をしたか伺ってもよろしいでしょうか?

Kamegai:シニア向け携帯端末を手がける企業を支援した実績があります。より会社として基盤を強く作っていくためにまずは企業理念から作っていきましょうという話しになりました。より基盤を強くしていくためにはブランドスローガンというメッセージが必要になってくると企業の幹部と話す中で辿り着きました。また社内をどう束ねていくのか、という部分もある程度見通しが必要となったので、内向きの仕事もしつつ、同時にロゴやサイトなど表に出てくるデザインもお手伝いした事例となっています。

地方BtoBメーカーの変革支援:新しいメッセージで組織を動かす

Q. 工業系のBtoB支援についても、印象的でした。こちらも伺わせてください。

Kamegai:ポンプを修理・整備する会社です。ポンプはビルの背後とか屋上とか、工場の隅とかにあって、普通に暮らしている人であれば一生見ることはないと思っています。でもポンプありきで動いている装置・機械等は多いです。支援した企業の詳細としては社員数150名程度の地方メーカーの企業だったのですが、まず業界全体の課題として緩慢で新しいことが起きてない空気があるという話しになりました。そういった背景も踏まえて企業のメッセージを作り直し、改めて「始まりを作る人」を掲げた。受注型のものづくりって「言われたことやります」になりやすい。でも難易度の高いこと言ってくるお客さんこそ本当のお客さんだと思っています。そこに答えると技術力を上げるチャンスになる。一緒に始まりを作る、イノベーションしていく、というマインドを感じてほしかった。ラベル、カタログ、サイトも直す。ただ、その手前に「始まりを作る」を言葉として紡ぐ。文字にする。社員が日々の仕事に生かす。そこまでできれば、会社は動くと思います。


清水修正版

Q. 工業系のBtoB支援についても、印象的でした。こちらも伺わせてください。

Kamegai:ポンプを修理・整備する会社の支援をしました。ポンプって、ビルの裏や屋上、工場の隅にあることが多く、普通に暮らしている人はほとんど目にしないと思います。でも実際は、ポンプがないと動かない機械や設備がたくさんあります。

支援した企業は、社員数が150名くらいの地方のメーカーでした。

まず前提として、その業界全体に「動きが遅くて、新しいことが起きにくい空気がある」という課題がありました。

そこで、会社が何を大事にして、どんな価値を出していくのかを改めて言葉にし直して、メッセージとして「始まりを作る人」を掲げました。

ここでの「始まりを作る人」とは、単に言われた通りに作る会社ではなく、難易度の高い依頼にも向き合いながら技術を磨き、顧客と一緒に新しい価値の出発点をつくっていく、という姿勢を短い言葉にまとめたメッセージです。


受注型のものづくりって「言われたことをやる受動的な姿勢になりやすい。難易度の高いことを言ってくるお客さんこそ、本当のお客さんだと思っています。 そこに答えられるようになると技術力を上げるチャンスになるし、一緒に新しいことを作っていける。

また、社外向けのデザインはラベルやカタログ、サイトも直しました。 ただ、その前に「始まりを作る」という考え方を言葉にして、文字にして、社員が日々の仕事で使える状態にする。そこが肝で、そこまで対応することで会社はうまく動くと思います。

まとめ

ブランディングは見た目を整えることではなく、まず企業が発信したいメッセージをクリアにすることから始まるという点でした。 メッセージが曖昧なまま進むと、現場の判断が揃わず、結果として価値が届かなくなるリスクが高まります。

そのうえで重要になるのが、理念や戦略と外向けの発信の間にあるインナーブランディングです。社員が理念を知っているだけではなく、日々の意思決定や行動に落ちる状態を作る。 精神論ではなく、社内ターゲットの捉え方や承認プロセスに組み込むなど、仕組みとして設計することが組織を動かす鍵になるという話でした。

  • 自社のメッセージが曖昧でブランディングの方向性が定まらない

  • 理念や戦略が現場の行動につながらない

  • 社内外の発信が噛み合わず価値が伝わり切っていない

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